初戦突破に、大きな壁が立ちはだかる。第88回選抜高校野球(20日開幕・甲子園)の組み合わせ抽選会が11日、大阪市内で行われた。初出場の札幌第一(北海道)は大会第3日第3試合で、昨秋の関東大会を制した木更津総合(千葉)との対戦が決まった。相手のエース早川隆久(3年)は、180センチの長身から投げ下ろす最速142キロの直球が武器。故障から完全復活した左腕を攻略し、春1勝を目指す。

 前夜にかわした、たわいのない雑談が、現実となった。大会第3日第3試合。対戦相手が木更津総合に決まった瞬間、札幌第一のエース上出拓真主将(3年)は「びっくりした」。無理もない。前日10日に32代表校の主将が集まって行われたキャプテントーク。全主将が同じ屋根の下で朝を迎えることが恒例となっているが、同部屋となった木更津総合の小池航貴主将(3年)から「前の主将に『お前ら、札幌第一とあたるぞ』って言われたんだ」と、打ち明けられていたからだ。一緒にセンバツを特集した雑誌を広げ、寝食を共にした新しい友は、一瞬にして敵となった。

 いきなり関東王者との対戦となり、気が引き締まった。相手はプロ注目の長身エース早川ら2人の好左腕を擁して、激戦区の頂点に立った。ただ「どんな投手なのか、ある程度は見ているので」と動揺はない。昨秋の明治神宮大会、木更津総合対大阪桐蔭(大阪)を選手全員でスタンド観戦。「投手は真っすぐにスピードがあり、打線は1番打者がいきなり本塁打を打ったので警戒しないといけない」と、初戦突破のイメージを膨らませた。

 「関東は全体的に投手も打者もレベルが高く、手ごわい」と油断は一切ないが、チームに同行し、臨時コーチを務める元横浜部長の小倉清一郎氏(71)は関東地区を知り尽くしている存在だけに、心強い。昨年のセンバツで同じ札幌地区の東海大四が準優勝し「冬に雪があるから北海道が不利というのは、言い訳にならない。自分たちが取り組んできたことに自信を持って戦いたい」と上出。菊池雄人監督(43)は「初出場で不安がないと言えばウソになるけど、しっかりとした野球をしたい」。悔いのない戦いで、初出場初勝利を、つかみ取る。【中島宙恵】