兄の思いも一緒に夢舞台へ上がる。第88回選抜高校野球(20日開幕・甲子園)に出場する花咲徳栄(埼玉)の佐藤優翔(ゆうと)捕手(3年=様似中出)は「チャンスがあれば甲子園でクリーンヒットを打ちたい」。12日、和歌山市内で行われた練習試合でマスクをかぶり、初戦の秀岳館(熊本)戦へ気持ちを高めた。

 部員74人の激戦を勝ち抜き、昨秋の埼玉大会地区予選で初めてベンチ入りした。代打で1試合のみの出場だったが「黒子に徹することが出来て、チームに欠かせない存在」と岩井隆監督(46)。控え捕手としてブルペンを支えながら、持ち前の打撃を生かす機会をうかがっている。

 旭川実の投手だった兄・駿太さん(22)の影響で野球を始めた。様似中では部員6人の野球部に所属する一方、硬式の日高シニアで活躍。人口約4600人の小さな町で育ったせいか、高校入学当初は何をやっても「動きが遅い」と監督に怒鳴られてばかりだった。

 兄は2010年夏の甲子園でベンチ入りを逃し、ボールボーイを務めた。「道外の強いチームで甲子園を目指したい」と海を渡り、つかんだ背番号12。昨夏甲子園8強の強豪で、頂点だけを見据える。【中島宙恵】