平沢2世は俺だ。仙台育英・西巻賢二内野手(2年)が4打数3安打1打点2盗塁の活躍で、東北学院榴ケ岡に11-0の5回コールド勝ちした。ロッテ平沢が背負った背番号6を引き継ぎ、1番遊撃として走攻守でチームをけん引。15日に千葉県内で行った練習試合では今ドラフト目玉候補の最速153キロ右腕東海大市原望洋・島孝明投手(3年)から安打を放つなど成長が加速している。春の頂点へ、勢いが止まらない。

 気温30度。真夏のような球場で、西巻は打席に凜(りん)と立った。足元を少しならし、バットを立てる。間合いの取り方はノーステップ。ギリギリまで球を引き寄せて、シャープにスイングした。「朝の打撃練習からボールが見えていた。自分の前にランナーがいないのでつなぐ意識でした」と打球は中堅方向を意識し、3安打。3出塁中2得点とリードオフマンとして存分に持ち味を発揮した。

 憧れの「6」を受け継いだ。昨夏の甲子園準優勝メンバーだったロッテ平沢が背負った背番号。西巻は1年生ながらベンチ入りし、その姿を近くで見つめ続けていた。左打者、右打者の違いはあるが「一緒にやらせてもらったんで意識します。大河さんに近づけたら」と2年生ながら与えられた正遊撃手の位置に気を引き締める。167センチ、60キロだが身体能力は抜群。内野は全て守れる器用さと肩の強さ、この日も2盗塁と足の速さも備わっている。

 成長につながる糧があった。15日に千葉県内で東海大市原望洋と練習試合を行った。対戦投手は最速153キロの島。今ドラフトの目玉候補に4打数1安打と食らいついた。「変化球に手も足も出なかった。あの直球があるから打てない。でも1本レフト前へ打てた。他の打席は三振だったんですけど、経験が積めた」。超一級品の球を見たことで「感覚をつかんだ」と打撃への自信を深めた。

 賢さを兼ね備える。佐々木順一朗監督(56)は「落ち着いていて賢い子。2番の瀬戸も合わせて1番として機能している。歴代で他にないくらい」と高い能力をほめた。趣味は「ルービックキューブ」で「全面そろえられます」と胸を張る。西巻は「ソフトバンクの今宮選手みたいに守備もできて、逆方向への強い打球も飛ばしたい」と笑った。私生活ではスイーツとアイスが好きな高校2年生。楽しみな逸材が、春に芽吹き始めている。【島根純】