一関学院が4投手の変幻継投で、岩手王者の座をつかんだ。先発が右横手、2番手が左腕、3番手は再び右横手。最後は準決勝を完投したエース左腕大竹樹希哉(3年)が、連投で締めた。

 今大会、エースの調子があまり良くなかった。夏も勝ち上がれば連戦になる。大竹の負担を減らすことが、大きなテーマになった。大舞台の決勝は控え投手3人が試合をつくった。沼田尚志監督(56)は「投手が課題だった大会。踏ん張ってくれたので、いい収穫でした」と喜んだ。

 中でも連覇に貢献したのが3番手の背番号19、佐々木蓮(3年)だった。1点差に迫られた4回1死一、二塁から登板。後続を断って流れを傾かせなかった。「1球1球しっかりコースに決めた。圧倒できるピッチングでした」と声を弾ませた。緩いスライダーを武器に、準決勝で13安打を放った花巻東を3回2/3無安打に抑えた。

 沼田監督が「思ったより、いいピッチングをしてくれた。大収穫かな」と驚きをまじえながら評価する佐々木は、控えめな性格もあって結果を出せなかった。そのため、冬場から投球時に「シャッー」などと声を出すことで「気持ちが乗り」(佐々木)、打者に対して強気に向かうことができるようになった。

 今春の練習試合ではその効果で好投が続き、一関地区予選で初めてベンチ入りした。今大会は昨夏の決勝で延長で敗れた花巻東へのリベンジも成功。佐々木の台頭を、エース大竹も「正直、ありがたい」と歓迎した。沼田監督は「完投できるのがなかなかいない。夏も継投になると思う」と現状を分析する。昨夏あと1歩で逃した甲子園へ向け、東北大会では大竹を軸にして、継投策にさらに磨きをかける。【久野朗】