八戸西が昨年優勝の弘前学院聖愛に5-4で劇的な逆転サヨナラ勝ち。34年ぶり2度目の優勝を飾った。1-4で迎えた9回裏に3点差をひっくり返した。エース竹本祐瑛(3年)は8安打13奪三振4失点(自責3)で完投。3位決定戦は八戸工大一が勝利した。

 八戸西が驚異的な粘りをみせた。9回表、聖愛に1点を追加され、3点のビハインドで9回裏を迎えた。1点を返した後、なおも2死満塁で村上天稔(たかじん=3年)の当たりは平凡な二ゴロ。万事休すとみられた。ところが送球を受ける相手一塁手が、ベースに足を取られて転倒(記録はエラー)。2者がかえって同点に追いついた。

 なおも2死二、三塁から中村嶺也(3年)が右前打を放ち、三塁走者の佐藤宏祐(3年)がガッツポーズでホームイン。ナインは駆け寄り、抱き合って喜びを爆発させた。8回までわずか2安打に抑えられていた打線が9回に6安打を集中させた。奇跡の逆転劇に球場は大きくどよめいた。

 指導者になって2カ月で優勝に導いた蝦名雄仁監督(23)は「最後は気持ち。みんなの気持ちがつながった」と涙を浮かべながら話した。竹本は初回にホームランを喫し、6回には3安打で3点を失った。苦しい試合だった。昨夏は1-12(6回コールド)、昨秋は3-4で敗れていた聖愛に、ついに雪辱した。

 青森山田に勝った八戸工大一を準決勝で、八戸学院光星に勝った聖愛を決勝で破った。私立校優勢の前評判を覆して、公立校が堂々の優勝。青森の勢力地図を塗り替え、夏へ向けても大きく前進した。

 主将の佐藤は「東北大会も夏の青森大会もレベルの高い戦いになる。どんな相手にも、自分たちの野球ができるよう頑張る」と前を向いた。【北村宏平】