東海大札幌が、東海大四から校名変更後の道大会初勝利を挙げた。

 ひりひりする展開で、未来のエース候補がマウンドに仁王立ちした。同点の5回から救援した東海大札幌の2年生右腕、富田健太投手が、自慢の真っすぐで札幌日大打線をねじ伏せた。8回は3者連続見逃し三振を奪うなど、6奪三振で1安打無失点。「真っすぐが走っていた。周りが声をかけてくれたので、緊張はしなかった」と照れた。

 身長175センチと大きくはないが、どっしりした体にメガネがトレードマークの背番号11。旭川龍谷で投手として活躍し、1987年のセンバツに出場した父健二さん(44)から技術を学び、育った。マウンドで時折、両手を広げるしぐさは「癖なんです」。一見、ふてぶてしく見える何げない動作が、相手にとっては不気味でもある。

 中3の時、東海大札幌の体験練習で球速139キロを計測し、周囲の度肝を抜いた。当時、球を受けた粂(くめ)裕太捕手(3年)は「すごい球を投げると思った。でも、性格は気弱なところもある」。今春の地区予選でようやくデビューし、公式戦では4試合計12回を投げて、まだ無失点。最速は148キロに伸びた。大脇英徳監督(40)は「予想を(良い意味で)裏切る投球が出来ている」。ゆっくりと才能が開き始めた右腕に、楽しみは尽きない。【中島宙恵】