昨夏の甲子園に出場した白樺学園が「粘守」で北照にサヨナラ勝ちし、3年連続で初戦を突破した。9回表に同点に追いつかれたが、その裏、1死三塁、相手の暴投で試合が決まった。背番号10の牧野憲伸投手(2年)が2失点(自責0)で踏ん張り、再三のピンチも野手の好守で切り抜けた。例年は打撃重視のチームカラーだが、新生白樺学園が守り抜いて勝利を呼び込んだ。

 白樺学園にとってはまさかの幕切れだった。8回まで2-1で先行していたが、9回表に同点に追いつかれた。だが、その裏。先頭が四球で出塁すると盗塁と相手失策で三塁まで進み、セーフティースクイズを試みた4番橋本球道主将(3年)へ投じられた初球は捕手のグラブから大きくそれた。三塁走者が生還。思わぬ形での決着に橋本は「納得いかない勝ち方」と複雑な表情を浮かべたが、チームには勝ちきった安堵(あんど)感が漂った。

 サヨナラ勝利を呼び込むまで、マウンドでは背番号10の2年生が腕を振り続けた。牧野は公式戦で初めて9回を投げきった。奪三振は1も、低めに丁寧に投げ、凡打の山を築いた。「後ろに強力な仲間がいたので」と、チームメートに感謝した。エースの橋本に続く牧野の独り立ちには、戸出直樹監督(40)も「完投できたのは本人にとってもチームにとってもいい」と喜んだ。

 打撃が売りのチームだったが、新たなカラーを打ち出す。バックが投手をもり立てる。8回2死満塁のピンチ。佐藤槙平右翼手(2年)がファウルフライをダイビングキャッチして逆転を防ぐなど、野手陣の奮闘も光った。この試合、併殺は3。昨年夏の甲子園も昨年秋の全道も、守備が乱れて惜敗した。同じ過ちは繰り返さない。佐藤は「今の白樺は守りからリズムを作るチーム。練習も打撃より守備の時間の方が多い」と胸を張る。2人の好投手を擁し、長打力のある打者が並んだ前チームとは違う。だからこそ、戦い方も変わった。

 次戦の相手は昨春準決勝で敗れた駒大苫小牧。南北海道の強豪もそろう今大会での上位進出で、勢いと自信をつけて夏を迎えたい。「甲子園に行った先輩たちを超えられるように。自分も甲子園で投げたい」と牧野。2年連続の聖地につながる春の戦いにする。【保坂果那】