全国のトップを切り開幕した沖縄大会で、16年ぶり2度目の甲子園を目指す那覇が開会式直後の1回戦で八重山農林を10-8で下し全国1番星を挙げた。3年連続初戦突破を決めたのはチーム一研究熱心な2番宜保優遊撃手(2年)だった。

 16日に梅雨明けした沖縄のこの日の最高気温は32・3度。南国の強い日差しの下で1回に右前打を放ち先制ホームを踏むと、2回には無死満塁から左越え3点適時三塁打。3回に左中間を破る適時二塁打、8回にも内野安打で1点を追加した。サイクル安打こそ逃したが「僕の持ち味は守備。4安打も5打点も公式戦初めて」と目を丸くした。

 県内有数の公立進学校。グラウンドは野球部を含め6つの部が交代で使う。野球部の割り当ては1時間15分が週3回。大城康成監督(41)が「グラウンド外で考えて自分の課題を克服できる選手が出てきてほしかった」と期待する象徴が宜保だった。毎打席、仲間に撮ってもらった動画をチェックする練習版「リプレー検証」で打力を上げてきた。

 前回甲子園に出場した00年に左投げの捕手や三塁手、体をかがめたダンゴムシ打法の代打などで話題となった。今年は「変わり種」選手は不在だが、今どきのハイテクツールを誰よりも有効利用した男が、全国トップ勝利を呼び込んだ。【福岡吉央】