第98回全国高校野球選手権新潟大会の組み合わせ抽選会は24日、新潟テルサで開かれた。参加校屈指の実力校ながら、ノーシードから甲子園を狙う日本文理は2回戦から登場。初戦は阿賀黎明と東京学館新潟の勝者と対戦する。4回戦で激突濃厚なのは長岡大手-村上桜ケ丘の勝者。決して楽なブロックではないが、大会一番の台風の目は、グラウンドで暴風を巻き起こす。

 日本文理・佐藤琢哉部長(54)は左手を抽選箱の奥に突っ込んだ。引き当てたクジは50番。新発田市五十公野公園野球場での11日午後0時半開始の2回戦。対戦相手は昨秋の県大会3位・東京学館新潟が有力で、4回戦には第3シード長岡大手と昨秋準優勝・村上桜ケ丘の勝者が濃厚だ。強敵のひしめくブロックだが、グラウンドで練習を指揮していた大井道夫監督(74)は涼しい顔だった。「夏はどこがきても同じ」。対戦相手は意に介さなかった。

 午後4時過ぎからの練習は打撃を中心に約1時間行った。30日から定期試験が始まるため、練習量を落としている。大井監督は「理想を言えば(第1シードの)新潟明訓の山が戦うのには楽」と地元鳥屋野球場での試合を望んでいたが、3、4回戦は長岡市悠久山野球場。「地の利」を生かせないものの、指揮官は「悠久山はいいグラウンド」と長距離移動を不利な条件と考えていなかった。

 昨秋は看板の打線が爆発して県大会を制した。しかし、本命として臨んだ今春は3回戦で北越に3-5。敗戦直後に学校に戻った選手たちは緊急ミーティングを室内練習場で開いていた。敗因を分析し合い、チームがひとつになる重要性を再確認した。捧颯人主将(はやと=3年)は「春よりも打撃、守備で力がついた」と敗戦をバネに妥協ない練習を繰り返した成果を実感している。右肩故障で今春は登録を外れていた昨秋のエース藤塚光二郎(3年)も復帰。夏は登録メンバー入りするだけに、投手力も充実する。

 夏の甲子園出場は8回を誇る日本文理は09年準優勝、14年にはベスト4に入っている。1年生のときにスタンドで先輩の4強入りを目撃した捧主将は「甲子園のグラウンドに立つために、ここに入学した。今夏が最後のチャンス」と意気込んだ。「県内では、そこそこの力はある」と大井監督が評するナインは今夏、ライバルたちをなぎ倒していく覚悟だった。【涌井幹雄】