南・北北海道大会の地区予選が札幌、十勝、北見の3地区で開幕し、札幌地区では5年ぶりの南大会出場を目指す恵庭北が、延長13回の末、2-1で2年連続の地区代表を目指した札幌南に勝利。雨による1時間20分の中断を含む計3時間48分の死闘を制した。

 最後の夏に懸ける意地が、恵庭北のエース砂野和也(3年)を支えた。延長13回に投じた176球目。外角直球で最後の打者を一邪飛に打ち取ると、雄たけびとともに右の拳を握りしめた。試合開始から、実に3時間48分。「終わったんだなと、うれしかった」。心地よい疲労感に浸った。

 3回から雨脚が強くなり、4回終了後に試合は一時中断に。昨秋の地区予選3回戦でも、雷により3度の中断を経験していた。「相手投手がしていたのを思い出して」とタオルを握り、シャドーピッチングで再開に備えた。

 3者凡退は1度だけで、2回以降は毎回走者を背負った。8度も先頭打者を出し、我慢の投球が続いたが「走者が得点圏にいるほど気合が入った」。7回に先制点こそ許したが、マウンドで「オレなら大丈夫」とつぶやきながら、味方の逆転を信じて右腕を振った。

 ひたむきな思いは、勝利の女神に、しっかり届いたようだ。同点も勝ち越し点も、相手の失策から生まれた。10安打を浴びながら、13回を1失点。「悔いのない夏に。完全燃焼したい」。人生最長のイニングを投げ抜いた右腕の瞳には、自信が宿っていた。【中島宙恵】