菊川南陵の叺田本気(かますだ・もとき)主将(3年)は「プロ級」ともいわれる強肩が“売り”の捕手だ。元日本ハム投手の田中幸雄監督(57)の指導のもと、夏舞台に向けてインサイドワークと強打にさらなる磨きをかけている。

 低く、鋭く、まさに矢のような送球が本塁から二塁へと伸びる。今春の西部地区大会で常葉学園菊川と対戦した際、叺田は50メートル走で5秒8をマークする県内屈指の俊足選手となる栗原健(3年)に2度盗塁を試みられ、1度目は成功を許した。だが続く2度目は、確実に刺した。「走者は誰でも同じ。刺す自信はあります」と力強い。

 田中監督が「プロ級」と認めるほどの強肩の持ち主。元プロの指揮官からの要求も厳しいが「配球や守備と打撃の切り替えなど、気持ちの部分もアドバイスを受けています」と、その教えを吸収中。同監督は「まだ枠(ストライクゾーン)の中だけで勝負している。インコースや低めを使いながら、逆算してリードをしていかないと」と、さらなる成長を期待している。

 自慢の肩とインサイドワークに加え、打撃も磨き続ける。ヤクルト山田哲人(23)を履正社時代から注目。現在も山田のティー打撃を参考にする。「どんな球でも自分のスイングができるように取り組んでいます。1試合2本は安打を打てるようになってきた」と打力も向上してきた。

 主将、4番の重責も担う叺田は「自覚はあります。自分が簡単にやられるわけにいかない」と気合十分だ。1回戦は昨夏準Vの飛龍と対戦。「甲子園に向けたドラマの舞台はできた。あとは相手を倒すだけです」と自信をみなぎらせた。【鈴木正章】

 ◆叺田本気(かますだ・もとき)1998年(平10)10月16日、大阪・堺市生まれ。右投げ右打ち。小学4年から富木ロイヤルズで野球を始める。福泉中では和泉ボーイズ所属。日本航空(山梨)に進学するが、1年夏から菊川南陵に転校。182センチ、76キロ。