第2シード北越の攻撃を、先頭打者の今道(こんどう)裕(3年)が主導する。チームで一番小柄な161センチは、チームで一番エネルギッシュ。「元気さは北越野球部のシンボル」と小島清監督(41)が評するトップバッターが、攻撃の突破口を第1打席から開く。

 攻撃の火付け役が今道だ。強力打線を先導する先頭打者としてチームに勢いを呼び込む。「チャンスメーカーの役目を果たしたい」。

 打撃練習で使用しているのは900グラムの木製バット。「ボールをしんに当てることを体に染み込ませている」と、担う役目の準備に怠りない。金属バットの鋭い音を他の選手がグラウンドに響かせる中、今道はナインを鼓舞する大きな声を出していた。

 「1番打者は相手投手と最初に勝負する。様子見の甘い球を投げてきたら、見逃さずに打っていきたい」と、今道は積極打法で出塁し続けるつもり。準優勝した今春の県大会は通算打率2割5分と不満足な結果に終わった。だからこそ、最後の夏に懸ける気持ちは強い。「大会が始まったら、大胆に攻める。春より“思い切り”がよくなった」。小島監督からは「1回でも多く、本塁を踏め」と貢献を期待されている。

 161センチの今道のストロングポイントは、持ち前の機敏性を駆使した走塁。小島監督は「相手のスキを突く走塁がうまい」と言う。高崎健康福祉大高崎(群馬)青柳博文監督らが著した走塁術の本を読んで参考にするなど、研究心も旺盛だ。小島監督に提出する練習ノートには「野球に関する本で、何かいいものはありませんか」と質問を記し、勧められた本を読んでいる。「次の塁を狙う意識は高いと思う」という今道の足は、北越の武器のひとつだ。

 父敬さん(50)は北越の保健体育教諭で柔道部の監督。小3で柔道から野球に転向した次男を「野球に取られた」と嘆いているが、中学生の今道を北越の練習試合観戦に連れ出すなど、バックアップを惜しまなかった。

 「どこが勝ってもおかしくない夏は、自分たちにもチャンスはある」。柔道少年から高校球児になった今道は、チームを先頭打者としてけん引する。【涌井幹雄】

 ◆今道裕(こんどう・ゆたか)1998年(平10)5月27日、新潟市南区(旧白根市)生まれの18歳。白根一中卒。野球を始めたのは白根小3年からで所属チームは白小ガッツ。高校では1年秋にベンチ入り。背番号7は昨秋から。左投げ左打ち。161センチ、61キロ。血液型O。