函館地区で代表決定戦3試合が行われ、今春の全道大会で8強入りした函館工は、下手投げエース兼4番の本庄拳也(3年)が投打にわたって活躍し、夏は6年ぶり36度目の南大会出場を決めた。この日で全33代表が出そろい、8日に南北大会の組み合わせ抽選が行われる。南大会は16日に札幌円山で、北大会は15日に旭川スタルヒンでそれぞれ開幕する。

 帽子に忍ばせた4つ葉のクローバーが、白星を運んでくれた。函館工のエース兼4番、本庄は9回、最後の打者を投ゴロ併殺に打ち取ると、超ドヤ顔で右の拳を握り、女房役の竹下弘真捕手(3年)と喜びを分かち合った。「7~9回は低めにボールを集めて内野ゴロを狙った」。7安打1失点で完投。持ち前の打たせて取る投球で勝利をつかんだ。

 現チームになった昨秋以降、公式戦全15試合で完投している大黒柱が今夏、はまっているのが「4つ葉のクローバー集め」。高校入学以来、夏は2年連続代表決定戦でサヨナラ負けという不運を、変えたかった。3日に学校のグラウンドで発見し、前日の2日には5つ葉を見つけたが「5つ葉は不幸だと聞いて、1枚ちぎって四つ葉にしました」と無邪気に笑う。代表決定戦のこの日の朝、球場の外で見つけた4つ葉のクローバーを帽子に隠し、勝負のマウンドに上がった。

 先頭打者に二塁打された3回に先制点を許したが、心は冷静だった。「6回までに逆転しろ」と、味方に言い続けた。願い通りに6回の攻撃で主将の竹下が同点の左前適時打。さらに2死二、三塁で、自分に打席がまわってきた。4番のプライドを守る勝ち越しの2点左前打を放ち、勝利をぐっと引き寄せた。

 道大会では、2季連続8強止まり。今春は東海大札幌に逆転サヨナラ3ランを浴び、1球の怖さを痛感した。「南大会決勝が目標。甲子園へ行けるかどうかという試合がしたい」。道内屈指のサブマリンが、古豪を聖地へと押し上げる。【中島宙恵】