高校野球界でもスターを目指せ! 2年後の第100回全国高校野球選手権で中心を担うのが現在の1年生たち。中学時代から高い評価を得て今春入学したルーキーたちを紹介する。第1回は、コンゴ出身の父と日本人の母を持つ、横浜(神奈川)の万波中正外野手。規格外のパワーで高校通算50本塁打を目指す。

 怪物ルーキーと呼ばれる万波の成長が止まらない。身長は3センチ伸びて190センチに到達。体重は8キロ増の92キロになった。中3の冬に出演したテレビ番組で測ったスイングスピードは、154キロだったという。プロ野球でクリーンアップを張る選手でも、150キロ出れば上々と言われる。「あれから測っていませんが、今はもっと上がっている気がします」と、大砲はパワーアップを実感している。

 プロ野球選手を夢見て横浜へ入学した。春からベンチ入りし、春季関東大会では公式戦初適時打も放った。練習試合では3本塁打を放ち、そのうちの2本が弾丸ライナー。平田徹監督(33)は「普通ならスリーバウンドぐらいしそうな打球だった」と低い弾道を振り返った。ある時は、左翼へ引っ張った打球が道路向こうの森まで飛び、推定130メートル弾を放った。「関節が柔らかいからしなりがすごい」と、指揮官はパワー以外の魅力にも言及した。

 飛距離はここ数カ月でさらに伸びた。万波も「入学後、びっくりするぐらい飛ぶようになりました」と感じている。入学当初は、打球が上がってもなかなか柵を越えなかった。ふと周りを見ると、たくさんの良いお手本がいた。同じ右打ちで、自分より12センチ身長の低い石川達也投手(3年)が柵越えを連発していた。

 「自分より小さい石川さんがめちゃくちゃ飛ばしていて、ロングティーで95メートルをがんがん越えていたんです。体をねじって、思い切り振り切っているからだと思いました」。自分はまだ体を使い切れていないことに気付いた。振り抜くことをより意識すると、打球は面白いように飛んだ。平田監督は、特に1年生に対し「失敗を恐れずに伸び伸びやりなさい」と伝えている。たとえ三振しても、笑い飛ばしてくれるチームのムードもプラスになっている。

 東練馬シニアではエース右腕としても活躍した。5月の松戸国際(千葉)との練習試合で初登板。2回を無安打2三振無失点に抑えたが、しばらくは打者に専念する予定だ。万波は「毎年、学年×10本を目指して50本塁打ぐらい打ちたい。この夏ももちろんですが、100回大会でみんなと一緒に甲子園に行きたいです」と言った。横浜高校、そして高校野球界のスターを目指す万波の物語が、始まった。【和田美保】

 ◆万波中正(まんなみ・ちゅうせい)2000年(平12)4月7日、東京都生まれ。小2から野球を始め、開進二中では東練馬シニアに所属。外野手兼投手で3年時に全国大会4位。横浜では1年春からベンチ入り。好きな食べ物は肉全般。嫌いな食べ物は生魚と魚介類。50メートルは6秒5。遠投105メートル。190センチ、92キロ。右投げ右打ち。