早実(西東京)の野村大樹(だいじゅ)内野手(1年)が、清宮幸太郎内野手(2年)から4番を受け継いだ。172センチ、80キロの右打者は、入学直後からパンチ力あふれる打撃でレギュラーに定着。高校通算50本塁打の怪物スラッガーも信頼を寄せるルーキー4番が、夏の聖地、甲子園を目指して打ちまくる。

 清宮さんの後には俺がいる! 野村が「早実の4番」として最初の夏を迎える。今春の東京大会で怪物スラッガーが座った打順を任される1年生は「甲子園で活躍した清宮さんと一緒にやっている。こうして4番になってみると緊張します」。重圧を感じながらも、表情には充実感が漂っていた。

 衝撃の「4番デビュー」だった。初めて4番に入った4月29日の関東第一(東東京)との練習試合で、右越えに本塁打を放った。「自分のアピールポイントは広角に打てること」。外角球を逆らわずに強い打球ではじき返し、右中間への長打が多い。得点圏に走者を置いた場面での勝負強さも兼ね備える。5月から「3番清宮、4番野村」の打順が固定された。中学時代に大阪福島シニアの4番として全国大会3位に導き、U-15(15歳以下)日本代表にも選ばれた実力は本物だった。

 6歳で早実進学の決意を固めた。「初めて観戦した高校野球が(06年夏の甲子園の)斎藤佑樹さんの優勝だった。それがきっかけで早実に行きたいと思いました」。10年後、初めて憧れのユニホームに袖を通した5月上旬の秋田・能代での招待試合でもホームランを放った。堂々と打席に立つ早実の背番号「5」の姿は、すでに違和感はない。

 野村の出現が、昨秋から結果が出なかったチームの課題を解消した。徹底マークを受けた清宮を3番に戻し、出塁率の高い1番金子銀佑主将(3年)から打線のつながりが増した。固定できなかった三塁も埋まった。和泉実監督(54)は「去年の清宮みたいな感じで、思い切ってやってくれている。最近では4番を打った1年生はいないと思う」と目を細めた。

 清宮も全幅の信頼を寄せる。「みんな『清宮まで回せ』と言ってくれますけど、自分的には『野村まで回せ』というくらい頼っています」。野村は、照れながら言った。「清宮さんはよくホームランとかを打つので、自分が打てなかったら何か言われそうです(笑い)」。今年の夏も、早実のスーパー1年生が大暴れする。【鹿野雄太】

 ◆野村大樹(のむら・だいじゅ)2000年(平12)9月10日生まれ、大阪府出身。同志社中では大阪福島シニアに所属。2年までは主に三塁手で、全国大会3位を経験。3年からは捕手も務め、U-15(15歳以下)日本代表に選ばれた。早実では春の東京大会後からレギュラーに定着。右投げ右打ち。172センチ、80キロ。