入学から1カ月足らずで報徳学園(兵庫)の「1番・遊撃」に定着したのが小園海斗内野手(1年)だ。春季近畿大会兵庫県大会全5試合で安打を放ち、決勝進出に貢献。6年ぶりの優勝を狙う兵庫県大会(9日開幕)にも、不動の打順で登場。早くも欠かせない戦力になった。

 「2015年侍ジャパンU15代表」の看板に、さらに花を添える。甲子園春夏3度優勝の名門校の「1番・遊撃」を、小園は1年春で射止めた。強肩を生かした守備力、50メートル走5秒9の俊足に加え、打席で結果を残し続けた。春季近畿大会兵庫県大会は全5試合で安打を放ち、25打数10安打の打率4割で春を終えた。

 「肩が強くて足もある。粒ぞろいの今の1年の中でも好素材」と他校の指導者からも注目される存在。永田裕治監督(52)は、02年センバツ制覇時の中心選手で同年日本ハム1位の尾崎匡哉を引き合いに「尾崎の1年生のときより上」と期待感を膨らませる。

 昨年11月の「U15アジアチャレンジマッチ2015」(愛媛・松山)で優勝するなど経験豊富な小園だが、高校野球への戸惑いはあった。「体もスピード感も違う」。それでも結果を残した。兵庫県大会準々決勝・神戸国際大付戦は6打数3安打。プロ注目の東郷太亮投手(3年)から右翼フェンス直撃の三塁打を放ち、スカウトを驚かせた。

 1年春から出場機会を得たことで、好投手との対戦経験も増えた。練習試合で広島新庄と対戦した際には、昨夏の甲子園大会をわかせた相手エース堀瑞輝(3年)の投球に目を見張った。「すべてがベストボールでした」と、今秋ドラフト上位候補に挙がる力を体感。また6月26日には創志学園(岡山)との練習試合で、高田萌生(3年)の前に3打数無安打。「スピードがあるし、スライダーのキレも素晴らしかった」と実感した。そんな記憶も経験も、16歳の血となり肉となる。

 全国大会の常連校、報徳学園も14年春を最後に出場を逃し、今の3年は甲子園を知らない。兵庫大会に向けて「3年生にとって最後の大会になる。先輩に悔しい思いはさせられないです。守りも攻撃も粘り強く、全力でいかなければ」。枚方ボーイズのチームメートで大阪桐蔭に進学した藤原恭大(きょうた)外野手(1年)を「中学時代はどれをとっても、勝てなかった」と今も意識。藤原もこの夏、ベンチ入りが決まった。ともに3年生の思いも背負い、兵庫と大阪で力を高め合う。【堀まどか】

 ◆小園海斗(こぞの・かいと)2000年(平12)6月7日、兵庫県生まれ。小学1年から「宝塚リトル」で野球を始め、光ガ丘中時代は「枚方ボーイズ」に所属し遊撃手。中学3年秋に「U15アジアチャレンジマッチ」で優勝。報徳学園では1年春の近畿大会県大会から正遊撃手。遠投105メートル。50メートル走5秒9。好きな選手はヤクルト山田。178センチ、73キロ。右投げ左打ち。