夏の和歌山連覇を目指す智弁和歌山のベンチ入り20人に、1年生3人が名前を連ねた。春の近畿大会県予選で活躍した林晃汰、文元洸成内野手に加え、平田龍輝投手が背番号18を射止めた。三塁の林、本来は捕手ながら夏は一塁を守る文元は5、6番を打つことが確定し、将来のエース候補、平田龍も今夏公式戦デビューを果たす。

 甲子園最多63勝監督と上級生に認められた3人だ。高嶋仁監督(70)は近年も中日岡田、日本ハム西川らを1年から起用してきたが、1年生を3人も夏のメンバーに加えたのは「記憶にないなあ。しかし、3年生を納得させるだけの結果を彼らが残してきましたから。『ベンチに入ってもおかしくない』と上級生が思うだけのものをね」と力量、結果を見定めてのメンバー決定だった。

 春の県予選から先発で使った林と文元に関しては、当初は3、4番を任せることも考えた。だが、さすがに3年生が意地を見せた。「1年2人を3、4番で使うぞ、と3年に言ったら、それはダメですと言ってきました」と監督も苦笑い。3番は今夏から主将に復帰させた野口春樹外野手(3年)、野口の不振時に主将を任せた高垣鋭次内野手(3年)を4番に据え、続く打順に1年を並べる。「それだけの力を持っている」と認めての打順だ。

 文元は兵庫・川西市から智弁和歌山への進学を希望。「自分が生まれた2000年の夏に甲子園で優勝したのが智弁和歌山。ここでなら、自分の持ち味の打力を伸ばせると思いました」と語る。文元同様打力でベンチ入りを勝ち取った林も「打ち損じをしない、1球で仕留められる打者を目指したい」と好機に強い打者の理想像を追い求める。

 平田龍は、兄翔真投手(3年)に続いて智弁和歌山へ。春はベンチ外も、5月の練習試合・近大福山(広島)戦で実戦デビュー。先発で5回を投げ、無失点に封じた。自己最速を「135キロくらい」と言うが、高嶋監督は「ピンチになれば140キロくらいに球速が上がる。夏も行かせますよ」と期待。本来のエース候補、加藤諒(2年)が腰痛で間に合わず。背番号1の橋祐我(3年)に続いて計算できる投手が1人でもほしい状況で、平田龍は救世主になる可能性を秘めている。5年ぶりの甲子園1勝へ、1年生トリオが切り札になる。さらに2年後、100回大会の主役になる力量を、十分に備えている。【堀まどか】

 ◆林晃汰(はやし・こうた)2000年(平12)11月16日、和歌山・岩出市生まれ。岩出小1年から「岩出ヤンキース」で捕手、三塁手として野球を始める。岩出中では「紀州ボーイズ」に所属。2、3年と全国大会出場。50メートル走6秒9。遠投100メートル。好きな選手は西武森。180センチ、84キロ。右投げ左打ち。

 ◆文元洸成(ふみもと・こうせい)2000年(平12)9月22日、兵庫・川西市生まれ。陽明小1年から軟式野球を始め、同4年から「宝塚リトル」で投手、三塁手として硬式野球を始める。同5年から捕手。緑台中では「神戸中央シニア」に所属し3年春に関西大会優勝。遠投90メートル。50メートル走6秒8。好きな選手はヤクルト山田。173センチ、80キロ。右投げ右打ち。

 ◆平田龍輝(ひらた・りゅうき)2000年(平12)7月1日、和歌山・串本町生まれ。串本西小3年から「串本エンジェルス」で野球を始め、同5年から投手。串本中では軟式野球部に所属し、最初は二塁手。2年から投手。50メートル走7秒。最速135キロの直球にスライダー、カーブ。好きな選手は日本ハム大谷。184センチ、78キロ。右投げ右打ち。