オールスターゲームに負けないアーチが、保土ケ谷球場の空にかかった。横浜(神奈川)が、公家響主将(3年)と村田雄大外野手(同)の場外弾含む11安打で、向の岡工に8-0で7回コールド勝ちだ。

 ゲームを支配したのは、初回2点を奪いなおも1死一、二塁で放った公家の25号3ランだった。「あんな当たりは久しぶり。うまく引きつけて打てました」。高め直球にバットを合わせただけで、打球は左翼芝生席後方の森へ消えた。こうなれば、4番村田も黙っていない。6回に右翼へ引っ張った10号ソロもまた、場外へ飛び出た。「初めてあんなに飛びました」。前日16日、寮でオールスターを観戦。憧れのOBでDeNA筒香の2夜連続弾に力をもらった。

 冬場は木製バットで徹底的に振り込んだ。ロングティーを取り入れ、軸回転を体に染み込ませた。125メートルある中堅バックスクリーンへ簡単に当たるようになった。両翼95メートルを超える選手も続出。平田徹監督(33)は「冬のトレーニングと日ごろの努力がつながってきた」と手応えを口にした。

 右手首を疲労骨折していた増田珠外野手(2年)は、昨年11月以来の公式戦で3安打と大暴れ。先発の石川達也投手(3年)は、3回47球をオール直球勝負で1安打に抑えた。3回戦以降は、ドラフト上位候補の藤平尚真投手(3年)が控える。平田監督にとって最初の夏。役者はそろった。「落ち着いてプレーできたのが何より。まずまずいいスタートが切れました」とかみしめた。「らしさ」を見せた新生横浜が、3年ぶりのてっぺんに向かって突っ走る。【和田美保】