最後の打者を空振り三振に仕留めると、作新学院(栃木)今井達也投手(3年)は、ほえた。「1回戦以来の登板だったので、完投したかった」。9回7安打8三振で4失点。ライバル文星芸大付を相手に公式戦初完投勝利を挙げた。最速149キロの自慢の直球は9回でも衰えず147キロを計測。ロッテ永野吉成スカウトは「ボールのはじき方、腕の振りがいいからスピードが出る」と評価した。今井は「直球で空振りが取れてよかった。いつでも今日のような球を投げたい」と手応えを口にした。

 因縁の相手だった。文星芸大付とは昨秋の県大会準決勝で対戦。先発するも、0-2で敗れた。「秋は自分のせいで敗れた。リベンジしたい気持ちもあった」と雪辱を誓って臨んだ。この日も前回と同様に3回裏に1点を失った。「秋と一緒だった。このままじゃ終われない」。気持ちをリセットし、ピンチを迎えても逆転を許さなかった。7回表に同点のホームを踏んだ際にもほえるなど、気合いMAXだった。「気持ちで勝ちました」と勝利の余韻に浸った。

 目標は夏6年連続の甲子園出場だ。昨夏は聖地に立つことが出来なかった。「完投は自信になった。甲子園のマウンドに立ちたい」。4強進出。夢舞台はもう目の前だ。【秋吉裕介】