センバツ出場の八戸学院光星が11-0で大湊に完勝、2年ぶり8度目の甲子園出場を決めた。初回、4番益田敦成一塁手(3年)の二塁打で先制。3回には相手投手の乱調と1番伊藤優平二塁手(3年)の2点三塁打などで一挙8点。エース桜井一樹(3年)が8安打無四球10奪三振で完封した。甲子園春夏連続出場は5度目。強力打線に機動力も備わった今年のチームが悲願の全国制覇を目指す。

 最後の打者を投ゴロに打ち取ると、駆け寄った桜井と奥村幸太捕手(3年)が固く抱き合った。そこに全ナインが加わり、人さし指を高々と突き上げた。1度も試合の流れを渡さなかった。激戦続きの青森大会だが、頂点に立ったのは王者光星だった。応援席からは大歓声がとどろいた。

 桜井はテンポよく真っすぐと変化球をコースに決めた。準々決勝の弘前東戦では15安打を打たれ、8失点を喫した。「落ち込んで投げるのがいやになった」と打ち明けた。指導陣から「ためがない」と言われ、「左手で壁をつくって投げた。3回に味方が8点取ってくれてからは自分の投球ができた」とにっこり。

 益田は「去年の先輩たちの無念を晴らせた」と力を込めた。昨年7月22日。三沢商との決勝は光星が優勢とみられた。ところが延長12回、1-2で悪夢のサヨナラ負け。3番打者で出場していた益田は4打席凡退に終わった。今年の相手大湊も快進撃の公立校。この日は2安打1打点と4番の役割を果たした。

 伊藤は50メートル5秒9の俊足と抜群の走塁術で、今大会9盗塁を成功させた。打ってもこの日4打数2安打2打点。大会通算で5割6分の高打率をマークした。1番打者としてフル回転。「相手も気持ちで向かってきたが、負けなかった。甲子園でも、どんな形でも出塁し、自分の役割を果たしたい」という。

 センバツで1勝を挙げたが、2回戦の龍谷大平安戦はチャンスに1本が出ず敗退。仲井宗基監督(46)は「強力打線といわれるが、打てなくても点の取れる方法を身につけてきた。足の速い選手が多いし、小技も使える」。攻撃のバリエーションが広がり、得点力はさらにアップした。

 春の県大会は初戦(2回戦)で弘前学院聖愛に敗れ、珍しくノーシードで臨んだ夏だが、安定した力を発揮。「下北から甲子園」を旗印に勢いに乗る大湊にも、びくともしなかった。王者光星が再び甲子園へ。前回の一昨年はベスト8に進出したが、それで満足する光星ではない。主将の奥村は「目標は全国制覇です!」と高らかに宣言した。【北村宏平】