2年ぶり2度目の甲子園出場を狙う角館は、最速147キロの右腕エース小木田敦也(3年)が夏の秋田大会では10年ぶり10人目になるノーヒットノーランを達成。1-0で第7シード能代松陽を下した。

 ノーシード角館が、2戦連続のシード校撃破で初優勝の14年以来2年ぶり8度目の準決勝に駒を進めた。立役者は初戦から4戦連続先発の小木田だ。打者30人に計105球を投じ、9奪三振1四球の無安打無失点。許した走者は味方の2失策を含む3人だけで、二塁を踏ませなかった。1点リードの9回裏2死一塁。相手代打を空振り三振に仕留めた小木田は白い歯を見せてガッツポーズ。「後半まで力まずに投げられた。(無安打は)意識しないで、勝つことだけを意識しました」と淡々と振り返った。

 夏の秋田大会では大曲工・中邑裕也が06年3回戦(秋田南戦)で達成して以来の快挙。湯沢淳監督(40)は「チームの士気も上がる」と祝福した。5回表に1点を先制して波に乗った。その裏の先頭(6番)を142キロの速球で空振り三振に切り捨てた。7回先頭(3番)は、抜ければ中前打になる強烈な投ゴロを「右サイドキック」で二塁手にパス? 「反応しちゃいました」と“投-二-一”のアウトにした。8回には相手8番を自己最速147キロで空振り三振に仕留めた。

 連覇のかかった昨夏は能代戦に先発し、6安打4失点で初戦敗退した。プロ5球団のスカウトが訪れた今春の県初戦も9安打4失点で5回途中降板。大曲工に初戦で敗れた。その後は、速球だけに頼る力勝負を反省。スライダーに加え、「縦変化も」と大会前にカーブも習得。この日最後の打者を、77キロのスローカーブを見せ球にして空振り三振にするなど、頭脳的配球も見せた。「三振にこだわらずに7~8割の力で打たせて取ることができた。野手のリズムもよくなると思う」と精神的にも急成長。平成10年10月10日生まれで10年ぶり10人目の快挙と、10ずくめでノーヒッターの仲間入りした小木田は「甲子園出場は最低条件」と力を込めた。【佐々木雄高】

 ◆小木田敦也(こぎた・あつや)1998年(平10)10月10日、秋田・仙北市生まれ。角館小3年から角館マックスで野球を始める。角館中では軟式野球部に所属。角館では1年夏から内野手でベンチ入りし、同夏の甲子園からレギュラー。家族は祖父母、両親、弟。172センチ、73キロ。血液型AB。