第98回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)栃木大会は決勝戦が行われ、作新学院が6年連続12度目の甲子園出場を決めて、同校が持つ県内の最多かつ連続記録を更新した。昨夏と同じ組み合わせとなった決戦で、1回裏に打者11人の猛攻で7得点し逆転に成功。その後も打線が3回までに11得点と序盤で優位に立った。4番の入江大生内野手(3年)が3安打4打点と活躍し、勝利に貢献した。

 主砲がチームを引っ張った。2点を追う1回裏、1点を返し、なお無死一、三塁の場面。4番入江が逆転の中越え適時二塁打を放って、二塁ベース上で喜びを爆発させた。「先制されたので、絶対に逆転してやろうと思った」。小針崇宏監督(33)が常々口にする「初回に打てる打者がチームに流れを持ってくる」の言葉を実践した。

 この一打で打線が波に乗って打者11人、8安打の猛攻で7得点。2回には再び入江が左翼席へ豪快に2ラン。「フルスイングしてボールに当てた」。序盤で完全に主導権を握った。山本拳輝主将(3年)が「体が大きいし、他の人と打球が違う」と、186センチ、79キロの大柄な体格をいかした主砲のバットが勝利に大きく貢献した。

 投手としても最速146キロを誇る。今春の県大会は背番号「1」をつけ、今夏もマウンドに上がった。それでも、「打撃の方が好き。(日本ハム)大谷選手のようになりたい」。練習では外野のネットを越えて民家まで球を飛ばすパワー。今春の県大会の後から、故障で離脱した小島寛生内野手(3年)に代わり4番に座った。「小島の分も打たなきゃいけない」。投球練習より打撃練習に時間を費やし打ち込んできた。

 昨夏は甲子園のマウンドにも立った。聖地の雰囲気を知るからこそ、責任感がある。「実力よりいいものを出せるようにしたいです。(エースの)今井が打たれたらオレが抑える」。夢の舞台でも“両輪”の活躍でチームを勝利に導くことを誓った。【秋吉裕介】

 ◆作新学院 1885年(明18)創立の私立校。総合進学部などがあり、生徒数は3366人。野球部は1902年創部で、部員数は99人。甲子園出場は春9度。主なOBは元巨人江川卓、ロッテ岡田幸文ら。所在地は宇都宮市一の沢1の1の41。船田元校長。

◆Vへの足跡◆

1回戦12-0宇都宮

2回戦15-0大田原

3回戦10-2宇都宮清陵

準々決勝6-4文星芸大付

準決勝10-3矢板中央

決勝15-6国学院栃木