中越が新潟明訓を10-2で下し、2年連続10度目の甲子園出場を決めた。1-2で迎えた7回は一挙7得点。今村豪(3年)が放った走者一掃の右中間三塁打。小技の3スクイズなども絡めて勝負を決めた。連覇は86年以来30年ぶり。10度目の出場は県内初の2桁台。全国選手権は8月7日に開幕する。

 連覇の夢を乗せた打球は、右中間を越えていった。3-2の7回1死満塁。今村は、カウント3ボールからの内角低めの直球に、鋭い一撃を加えた。「ゲームはいい流れだった。その流れに乗れば安打は出る」。まさに“満塁男”の面目躍如。4回戦(北越戦)の満塁本塁打、準々決勝(帝京長岡戦)の満塁二塁打に続いてビッグチャンスに長打を決めた。三塁に到達すると、膨れ上がった応援スタンドに向かって右腕を突き上げて見せた。

 本田仁哉監督(39)は言う。「チームカラーは打、投、走ではない。場面に応じて必死に集中するのが持ち味」。大量7得点した7回が、それだった。1-2の1死満塁で西山侑汰(3年)が左前安打を打って2-2の同点。なお満塁の場面から、小技を駆使して加点した。沢中京太郎(2年)のスクイズバントは失策を誘い、続く坂上顕士(3年)のバントは一塁への内野安打だ。それだけでは終わらない。今村の走者一掃の三塁打のあとにも、広川健介主将(3年)がスクイズで打のヒーローをホームに生還させた。「1プレー、1球に集中させたい」という指揮官の思いをナインは実行した。

 昨夏の甲子園メンバーは広川主将1人だけ。経験値の低いメンバーが大半で、昨秋と今春は16強止まりだった。しかし、ダークホースは夏の頂点まで上り詰めた。指導する本田監督自身も驚く快進撃だった。「大会を通じて、こんなに成長したのは僕自身の経験の中にはない。高校生の力はすごいと、改めて驚かされている」。グレーのユニホームには伝統が染み付いていた。

 急成長を遂げてきたメンバーは、30年ぶりの連覇も達成。次のターゲットは昨年のチームが実現できなかった甲子園1勝だ。「1勝して昨年を超えたい」とは今村。本田監督も「甲子園で校歌を歌いたい」と94年(2勝)以来、22年ぶりの勝利に目標を置いた。【涌井幹雄】

 ◆中越 1905年(明38)斎藤女学館として創立された私立校。56年に現校名、野球部も創部。普通科だけの共学校で生徒数977人(女子425人)。OBに元ダイエー今井雄太郎、広島今井啓介らがいる。所在地は長岡市新保町1371の1。八田元史校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦5-2上越総合技術

3回戦3-0新潟南

4回戦13-2北越

準々決勝10-1帝京長岡

準決勝6-3加茂暁星

決勝10-2新潟明訓