第98回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)群馬大会は28日、決勝が行われ、前橋育英が3年ぶり2度目の甲子園出場を決めた。13年、高橋光成投手(西武)を擁し、全国制覇して以来。3年連続出場を目指した高崎健康福祉大高崎を延長12回、3時間37分の激闘の末、8-4で下した。背番号「1」の佐藤優人投手(3年)が9回4失点、延長10回途中から救援した吉沢悠投手(2年)が無失点に抑え、勝利に貢献した。

 今春の関東王者の前橋育英が、3年連続出場を目指す高崎健康福祉大高崎に競り勝った。13年、エースの高橋光成投手(西武)を擁し、初出場で全国制覇。その背番号1を継ぐ先発の佐藤がピンチを背負っても粘った。延長10回途中まで9安打を浴び、実に7度も得点圏に走者を置いた。9回には同点に追いつかれ、なお1死一、二塁と一打サヨナラの場面を迎えたが、佐藤は「次の1点は阻止しようと思った」と2者連続三振で切り抜けた。

 エース佐藤の後を受けた2年生右腕の吉沢が延長10回、無死一塁からマウンドへ。後続を併殺、遊ゴロに抑え、3回を無失点と好救援。一挙4点を奪った12回の勝ち越しにつなげた。荒井直樹監督(51)は「佐藤は8、9回と苦しいイニングだったが、よく踏ん張った。(10回の交代は)限界だと思った」と継投を振り返った。

 走者を出しても、粘りの投球は先輩譲りだ。3年前の中学3年時、全国制覇に導いた高橋光成の「強気な投球に憧れ」前橋育英の進学を決めた。部屋の壁には高橋光成の甲子園で投げる写真を張っている。先輩の投球スタイルを意識し、「ピンチの場面にインコースを強気で攻めることができました」と笑顔を見せた。

 スタンドで観戦した父一浩さん(46)も「小学生の時から毎日30分は必ずストレッチをしていた」と、努力を重ねてきた息子の成長に目を細めた。決勝では吉沢の救援を受けたが、今大会6試合で52イニングを投げてきた。座右の銘は「誰にも負けない」。そんな強気な佐藤は「先輩たちは優勝しているので、そこにいきたい」と2度目の全国制覇を目標に掲げた。【秋吉裕介】

 ◆前橋育英 1963年(昭38)創立の私立校。生徒数は1595人(女子914人)。野球部は64年創部で部員60人。甲子園出場は春1度、夏は2度目。OBに西武高橋光成、サッカー元日本代表の細貝萌ら。前橋市朝日が丘町13。竹渕敏校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦8-3常磐

3回戦3-1渋川

4回戦3-0桐生第一

準々決勝3-0桐生商

準決勝3-1前橋工

決勝8-4高崎健康福祉大高崎