福岡大会決勝で九州国際大付が4-3で福岡工大城東を下し、3年連続7度目の夏の甲子園出場を決めた。元プロの楠城徹監督(65)が部員数69人のチームで「1、2軍制」を敷き、選手を入れ替えることでチーム内の競争をあおり、底上げに成功。強豪ぞろいの戦国・福岡で打力を生かし、59~61年の戸畑以来、55年ぶりとなる3連覇を達成した。

 最後はチーム力で上回った。九州国際大付が1点リードで迎えた9回2死一、二塁のピンチ。打球が尾仲力斗遊撃手(3年)のグラブに収まると、プレッシャーから解き放たれたナインはマウンドに掛け出し、喜びを爆発させた。

 昨秋、今春は5回戦敗退。だが、夏を見据えたチームづくりが実を結んだ。2回に先制打を放った主将の永岡大昇捕手(3年)は「秋、春と3連覇への気持ちがものすごくあったが、夏前からはこの仲間と優勝したい思いでやってきた。甲子園では去年の8強を超えたい」と目を輝かせた。

 打ち勝って決めた3連覇だ。この日は4得点ながら、今大会7試合のうち5試合で2桁安打を放ち、計76安打、61得点。底力のある打線は、日ごろの厳しいチーム内競争から生まれた。

 14年夏に就任した楠城監督はチームをA、B2つに分ける「1、2軍制」を敷き、調子の良しあしで頻繁に選手を入れ替えてきた。西武時代にはヘッドコーチ経験もある指揮官は「メンバーは絶対に固定せず、チームに必要な選手を選ぶ。一生懸命やっている子は見逃さないし、手を抜く子は容赦なく落とす。常に緊張感があり、チーム内競争が激しいから、試合のほうが楽なんじゃないかな」と、目尻を下げた。

 今年4月からは楽天、ヤクルトでプレーした息子の祐介氏(32)がコーチに就任し、Bチームを担当。技術不足を補うため、BはAよりも練習メニューが多いという徹底ぶりだ。エースや主将にも特権はなく、この日のバッテリーはともに秋の大会後、Bチーム降格を経てメンバー入り。藤本海斗投手(3年)は「ずっとチームに迷惑を掛けてきたので、何とかしたかった。甲子園でも勝って、監督やコーチに恩返ししたい」と、うれし涙をぬぐった。

 楠城監督就任から2年。「去年は急造チームで大変だったが、今年のチームは楽だった」と笑った。楠城イズムが浸透してつかんだ大会3連覇。勲章を胸に、昨夏8強に進んだ甲子園に乗り込む。【福岡吉央】

 ◆九州国際大付 1958年(昭33)八幡大付として創立した私立校。89年、現校名に。普通科のみで生徒数1764人(女子797人)。野球部は58年創部、部員69人。春は2度、夏は7度目。OBにソフトバンク二保旭、DeNA高城俊人ら。北九州市八幡東区枝光5の9の1。西元孝幸校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦9-2北九州高専

3回戦13-0大和青藍

4回戦7-3豊国学園

5回戦8-3西日本短大付

準々決勝12-11自由ケ丘

準決勝8-0真颯館

決勝4-3福岡工大城東