プレーバック日刊スポーツ! 過去の8月8日付紙面を振り返ります。2006年の7面(東京版)は、センバツ決勝で0-21で敗れた清峰(長崎)が夏初戦で22点を奪い大勝したニュースでした。

熱戦展開中、夏の甲子園特集ページ

2006年8月8日付日刊スポーツ紙面
2006年8月8日付日刊スポーツ紙面

<全国高校野球選手権:清峰22-3光南>◇2006年8月7日◇1回戦

 センバツ準優勝の清峰(長崎)が、20安打22得点の圧勝で光南(福島)を下した。8回に7安打を集中し、打者16人で12点。史上6度目の1イニング全員得点を達成した。センバツ決勝では横浜(神奈川)に0─21の大敗を喫したが、強力打線で夏の甲子園に帰ってきた。

 清峰は、最後まで攻撃の手を緩めなかった。8回のスコアボードに刻まれた「12点」が輝いた。20安打22得点の圧勝劇。センバツは準優勝したが、横浜(神奈川)に0─21の記録的大敗。大きな心の傷を負った清峰ナインが、夏のマンモスでうっ憤をはらした。

 「全国の大舞台(センバツ)で21点取られて、これ以上恥ずかしいことはなかった。正直、忘れたい気持ちはあった。指導者として何か(大敗を)流せる材料がないかと思っていた」。吉田洸二監督(37)は相手を思いやりながらも、ホッとした表情で汗をぬぐった。

 7点リードで迎えた8回だ。相手の暴投、四球などを絡め7安打を集中。大津智(3年)のダメ押し3ランも飛び出すなどこの回、打者16人攻撃で12得点。攻撃途中、ベンチからは広滝航主将(3年)が「21点いくぞ」と声を張り上げた。4回に適時二塁打を放つなどチームをけん引した広滝は「センバツで横浜から最後まで気を緩めず打つことを学んだ」と胸を張った。気合十分のナインは史上6度目の1イニング全員得点、3大会ぶりの1イニング2けたとなる12得点、さらに先発全員安打のおまけをつける猛攻で初戦を突破した。

 確かな戦術眼も大勝の呼び水となった。相手先発の根本尚幸(3年)のスライダーを捨てて、反対方向に狙いを定めた。5回途中で根本から10安打9得点し、ノックアウトしたが、9安打が中堅から逆方向。「(相手が)軟投派だったんでセンターに打っていけばいいんじゃないか」。吉田監督のアドバイスをナインが忠実に守った。足技でも8回のダブルスチールを含め計7盗塁。大技、小技を絡めパワーアップしたニュー清峰。長崎勢30勝目を歴史的勝利で飾り、全国制覇へロケットスタートを切った。

 ◆清峰の1試合22得点、1イニング12得点は20年に1度あるかどうかの快記録だ。夏の甲子園は今大会2日目まで通算2769試合を消化。このうち1試合22点以上は7度、1イニング12点以上は5度しかない。

 ワンサイドゲームは失策や四死球が多発した戦前に多く見られる。夏の甲子園で戦後に22点以上奪ったチームは桑田、清原のPL学園が85年の東海大山形から29点を挙げた1度しかなかった。1イニング12点が7点リードの8回というのも珍しい。守りに入ってもおかしくない展開だ。7点以上リードして迎えた終盤に1イニング2ケタ得点は、36年静岡商が長野商戦の8回、15―1から12点を加えた1例しかない。

※記録や表記は当時のもの