2年ぶり9度目出場の盛岡大付(岩手)が九州国際大付(福岡)を8-6で振り切り、2年ぶりに初戦を突破した。4回からロングリリーフした左腕・三浦瑞樹(2年)が6回5安打6奪三振2失点と粘り、女房役の5番伊藤勇貴捕手(3年)が2安打3打点と気を吐いた。これで10年の八戸工大一(青森)から7年連続で、東北勢の先陣が勝利し続けている。

 持ち味の強力打線が火を噴いた。3年連続出場の強豪を相手に2本塁打を含む14安打8得点。岩手大会で22打数14安打13打点で打率6割を超えた5番伊藤が、全国舞台でもチーム最多の3打点を挙げた。「走者をかえすのが自分の仕事。強打の盛付と言われるので、打ち勝ててよかった」。1回2死二、三塁から右前打で2点先制すると、1点勝ち越した7-6の9回2死三塁でしぶとく左前に運び、リードを2点に広げて試合を決めた。

 女房役としても伊藤は2年生の三浦を引っ張った。「あいつを気持ちよく投げさせたかった」。この日、生命線となった低めを要求した時は、右拳で自分の胸をたたくしぐさで三浦を鼓舞し続けた。「絶対低めは止めてやるって思っていた。胸をたたくのは小学生の時から。声だと聞こえないので、ジェスチャーで伝えたかった」。8回に暴投を許してしまったが、岩手大会で捕逸0の鉄壁の守備を、甲子園で存分に見せつけた。

 4回からリリーフした三浦も粘った。5、6回を除く4イニングで走者を許したものの、2失点で要所を締めた。伊藤の要求する右打者の内角スライダー、左打者の外角直球を低めに投げ込んだ。三浦は「暴投が怖かったけど、伊藤さんが止めてくれると思った。頼りになる先輩です」と振り返った。

 バッテリーの活躍で、剛腕エース松本裕樹(現ソフトバンク、20)を擁して1勝を挙げた14年に続き、2度目の初戦突破に成功した。13日の2回戦で、プロ注目右腕・高田萌生投手(3年)が大黒柱の創志学園(岡山)と激突する。同校初の2勝を狙う伊藤は「次の創志学園は、速球派の高田がいる。速い真っすぐをかちこみたい」と丸太のような太い腕に力を込めた。【高橋洋平】