作新学院(栃木)の入江大生内野手(3年)が、2試合連続アーチで4年ぶりの8強入りに導いた。3点を先制した2回2死二塁で左越えに2ラン。花咲徳栄(埼玉)の152キロ左腕・高橋昂也投手(3年)がマウンドに上がる前に一挙5点を奪った。序盤で大量点をもらった右腕エース今井達也投手(3年)は、9回10奪三振2失点で完投した。今日18日の準々決勝は、第4試合で木更津総合(千葉)と対戦する。

 注目のエース対決を前に、入江の1発が花咲徳栄を沈めた。2回、今井の先制打と山ノ井隆雅外野手(3年)の中前2点適時打で3-0。2死二塁で右打席に立った入江は、カウント1-1から高めに入った115キロのスライダーを見逃さなかった。打球は美しい放物線を描き、左翼スタンドに吸い込まれる2ラン。「自分も投手をやっているので、今井の気持ちは分かる。5、6点取って楽にしてやりたいと思っていた」。勝利を大きく引き寄せる2戦連続アーチに、力強く右拳を握りしめて雄たけびを上げた。

 今春までエース番号を背負った男が、持ち前のパンチ力を披露した。本格的に打撃練習を始めたのは春の県大会後。今夏の栃木大会も、今井との「2枚看板」で勝ち上がった。投手メニューと並行しながら打力を磨き、今年だけで15本塁打を量産。身長186センチの大砲は「振る量は(他の野手に)かなわないので、とにかくフルスイングを心がけている。投手で下半身を鍛えたから飛ぶようになった」と手応えを口にした。

 一撃で仕留める集中力と闘争心は、父大地さん(49)から受け継いだ。栃木大会決勝は、2ランを含む3安打4打点で6連覇に貢献。通算21打数12安打15打点と驚異的な数字を残した。作新学院ボクシング部に所属していた父の「スケール大きく生きてほしい」という思いが込められた名前のとおり、大会屈指の強打者に育った。

 初戦の尽誠学園(香川)戦に続く4打数2安打2打点の活躍で8強入り。小針崇宏監督(33)は「入江のホームランは大きい。3回までに優位に立てた」と主砲をたたえた。54年ぶりの頂点へ、次は木更津総合の好左腕・早川隆久投手(3年)をKOしてみせる。【鹿野雄太】

 ◆入江大生(いりえ・たいせい)1998年(平10)8月26日生まれ。小3から今市レイダースで野球を始める。ポジションは主に投手と遊撃手。今市中では県央宇都宮ボーイズに所属。投手兼外野手として全国8強。作新学院では1年秋からベンチ入り。右投げ右打ち。186センチ、79キロ。家族は両親と弟2人。