作新学院(栃木)入江大生内野手(3年)が、史上7人目の3戦連続アーチを放った。木更津総合(千葉)早川隆久投手(3年)から、1回に先制ソロ。2戦連続完封の好左腕に今大会初失点を付け、5年ぶりの4強に導いた。今日19日は休養日で、準決勝は20日に行われる。

 振れば入る! 作新学院・入江はそんな観衆の期待を裏切らない。1回2死、カウント1-1から真ん中高めの絶好球をフルスイング。青空を切り裂き、バックスクリーン左へ美しい先制ソロを放り込んだ。「内角を待ってたら甘く入ってきた。気合入ってました!」。手応えを右拳に込め、テンションMAXでダイヤモンドを回った。

 何せ3戦連発だ。2回戦の尽誠学園戦、3回戦の花咲徳栄戦も左翼へアーチをかけた。清原(PL学園)らに並ぶ史上7人目の快挙。エース今井を援護し「三振を取るより、ホームラン打つ方が気持ちいい。投げるのは今井に任せて、打の主力になるって決めたんです」と豪快に笑った。

 投げても最速146キロ。昨夏の甲子園マウンドに立ち、今春は背番号「1」だった。持ち球は速球と落ちる変化球で、タイプも今井と似ていた。「悔しさもあったけど、もともと投手練習の間に打っちゃうくらい、打撃が大好きなので」。今井の台頭で打撃に専念し始めた今春以降だけで、すでに15本塁打を量産した。

 秘訣(ひけつ)はパワーと選球眼だ。入学時は体が細く「ゴボウ」と呼ばれた。「ご飯よりお菓子が好きだけど、野球が大事なので封印しました」。以前は、リオ五輪体操金メダルの内村航平も愛したチョコ菓子「ブラックサンダー」を1度に20個平らげるほど好物だった。偏食を改善して世界一となった内村よろしく、入学後はお菓子断ち。寮でコーチ手製チャーハンを食べまくった。

 昨冬だけで8キロ増量。どっしり79キロに変身した。「前は相手投手が大きく感じた。今は『どんと来い』って感じ」。主砲に恥じないパンチ力と、低めの変化球を見極める対応力を付けた。

 今大会は12打数6安打5打点の打率5割。「4戦連発って誰もが狙える記録じゃない。次は少し、狙いたいですね」。入江に降り注ぐ歓声は、まだまだやまなさそうだ。【鎌田良美】

 ◆入江大生(いりえ・たいせい)1998年(平10)8月26日、栃木・今市市(現日光市)生まれ。小3から今市レイダースで野球を始める。ポジションは主に投手と遊撃手。今市中では県央宇都宮ボーイズに所属。投手兼外野手として全国8強。作新学院では1年秋からベンチ入り。3年春にエースナンバーをつけた。右投げ右打ち。186センチ、79キロ。家族は両親と弟2人。

 ▼無失策試合 作新学院-木更津総合戦で記録。今大会5度目。