作新学院(栃木)は春夏連覇して以来、54年ぶりの決勝進出となった。決勝は今日21日に行われる。

 作新学院の藤野は、スライダーだけを狙っていた。初回2死二、三塁で右翼線へ運んだ先制2点二塁打も、3回の左中間2点二塁打も、2ストライクからの決め球を打ち砕いた。「相手が自信を持っている球を打って、4打点できてうれしい」。試合前夜に宿舎近くの河川敷で夜10時頃までバットを振った5番打者は、お立ち台で笑顔を見せた。

 必勝パターンだった。この日も今大会20イニング無失点の明徳義塾・中野を序盤で攻略。今大会の全22点のうち15点を3回までに奪っている。小針崇宏監督(33)は「甲子園は1イニングで10点入る球場。1巡目が勝負と言ってきた」。初戦から1度もリードを許さず、決勝まで駒を進めた。

 好投手撃破の鍵は、自主トレにもあった。藤野は「去年は全体練習の6割くらいが打撃だったけど、今年は守備と走塁が7割。自主練習でバットを振るようになった」と話す。各自が課題克服に集中し、食事量も増やしてパワーアップした。藤野は母正子さん(46)のつくる大好物のチーズ乗せハンバーグ200グラムとごはん5杯で、体重68キロから8キロ増に成功。「単打ばかりだったのに、逆方向に長打が出るようになった」。前日19日が誕生日だった母へ、4打点で恩返しした。

 リオデジャネイロ五輪の競泳男子400メートル個人メドレーを制したOB萩野公介(22=東洋大)に並ぶ“金メダル”まで、あと1勝。先輩と同じ「先行逃げ切り戦法」で、全国に作新の風を吹かせる。【鹿野雄太】

 ◆54年ぶり決勝 作新学院は62年以来の決勝進出。決勝→決勝のブランクでは96年熊本工(59年ぶり)、93年育英(58年ぶり)、80年早実(55年ぶり)に次ぐ4番目の長さ。

 ◆甲子園での北海道対栃木 夏は初対戦。春1度。88年3回戦で北海が宇都宮学園に2-6で敗れている。

 ◆150キロ連発 作新学院・今井が4試合連続で150キロ以上をマーク。過去には05年辻内(大阪桐蔭)が5試合連続、12年藤浪(同)が4試合連続で出している。