次こそ大旗だ。夏甲子園初の決勝に進出した北海(南北海道)は作新学院(栃木)に敗れたが、2年生コンビが大舞台で堂々の戦いを見せた。左腕、多間隼介投手はエース大西に代わり、4回途中から甲子園初登板。6回2失点の粘投を見せた。9番鈴木大和中堅手は先制打を放った。悲願の全国優勝へ、夢の続きは彼ら下級生たちに託された。

 背番号11の左腕、北海・多間は初めて立った聖地のマウンドで力を出し切った。1-3と逆転された4回無死満塁のピンチで出番はやって来た。「怖さもあったけど全国に通用するか知りたいというのもあった」。最初の打者に二塁打を浴びると「逆に吹っ切れた」。回を重ねていくごとに調子を上げた。球場全体も味方につけ、好投のたびに拍手で背中を押された。「変化球でも直球でも三振が取れた」と、全国の頂点に立った作新学院打線を相手に勝負はできた。負けた悔しさもあったが、納得した表情を浮かべた。

 応えたかった。3年生との甲子園最後の試合。ベンチではバトンを引き継いだエース大西に首をアイシングしてもらいながら毎回マウンドに向かった。「大西さんのために、自分のために投げた」。初戦から準決勝まで1人で投げ抜いた先輩が自分のために尽くしてくれる。打撃では「たまたまです」と謙遜するが、全3打席で安打を放って反撃を狙った。大阪入り後はずっと打撃投手を務め、自身の打撃練習はバントしかしてこなかったが、思いが打球に宿っていた。9番鈴木も切り込んだ。2回2死一、二塁。「3年生でベンチに入れていない人たちの分も」と、左翼線への適時打で先制点を奪った。

 創部116年目、全国最多37度目の出場、長い歴史に初めて夏の準優勝の文字を刻んだ。ベンチ入り18人中2年生は7人。多間は「エースになるって気持ちでいく。来年戻って来て、優勝旗を取るしかない」と誓う。決勝の舞台で戦った自信を胸に、全国で最も遅いスタートをきる新チームが再び日本一へ挑戦する。【保坂果那】