U18(18歳以下)アジア選手権決勝で、高校日本代表が台湾を1-0で破って2大会ぶり5度目の優勝を飾った。先発の作新学院(栃木)今井達也投手(3年)は5回まで1安打無失点。6回から広島新庄・堀瑞輝投手(3年)が無安打8奪三振と台湾を抑え込んだ。盤石の投手陣で1次ラウンドから6戦全勝、わずか1失点で頂点に立った。

 両軍無得点の6回。堀が2番手でマウンドに上がると球場の空気が変わった。「自信を持って投げました」。宝刀スライダーで先頭を空振り三振に取るなど、3番からのクリーンアップを3者凡退に封じた。緊迫した場面でも時折笑顔を見せる精神的余裕が、6試合48イニングを1失点に抑えた最強投手陣の象徴だった。9回も最後の打者から147キロ直球で8個目の三振、アジアの頂点に立った。

 小枝守監督(65)の絶大な信頼を得て、不慣れなリリーフにも動じなかった。3度の救援登板は、台湾と韓国の難敵ばかり。「いつもの先発と同じ気持ちでマウンドに上がりました。海外でスライダーが通用したことは自信になりました」。アストロズ大慈弥環太平洋担当部長も「消えるスライダー。ストライクゾーンにきっちり入れば1軍でもやれる」と評価。先発こそなかったが3試合、9回2/3を1安打18奪三振で無失点。2勝を挙げ投手陣の柱となった。

 甲子園優勝投手の今井も先発で試合をつくった。本調子ではなかったが、初回から地響きのような地元台湾の大声援にも耐え、5回を1安打に封じた。「調子が悪い中で粘り強く投げられた。優勝できて本当にうれしい」と笑った。「日本のお米が食べたいです。納豆とか」と慣れぬ初の海外でも、「台湾の大谷」こと4番の陳琥(18)を前回対戦に続き完璧に封じた。

 結成から約2週間の急造チーム。大学代表との壮行試合では仲間のミスをちゃかす選手がいた。首脳陣が雷を落としてから、チームはまとまった。18番を背負った今井が「ゆくゆくはプロに行きたいです。そして日本代表に選ばれるくらいになりたい」と自信を深めたように、アジア制覇を誇りに、精鋭18人はさらにたくましくなった。【和田美保】