旭川地区で4年ぶりの全道を目指す富良野が旭川東栄に4-0で快勝し、3回戦進出を決めた。台風10号の影響で南富良野町の選手4人が登校できない日が続いた。今大会で初めて全部員がそろって臨んだこの日、今野響暉(2年)は公式戦で初めて「7番・右翼」で先発。「しっかり全員そろって一体となってから行きたくて」と、一丸での勝利を喜んだ。

 スタンドから声援を送った星野瑞稀外野手(1年)の姿は、11日の初戦にはなかった。前日12日に約2週間ぶりに登校。台風当日、自宅が浸水し、家族と車庫の上に避難して4時間後にヘリで救助された。野球道具は持ち出せなかった。今野とエース坂本大輔(2年)は学校に行けなかった約1週間、同町内で泥の撤去作業などを手伝った。2人でキャッチボールを行いながら大会に備えた。この日登板はなかった坂本は「野球ができることに感謝」。被害は大きかったが、仲間とプレーできる喜びをかみしめる。

 練習環境にも影響が出ている。河川敷の練習場が使えなくなったラグビー部やサッカー部が校内のグラウンドで活動。隣り合う野球部は、打球が飛び込まぬよう、配慮しながら体を動かす。両部は道大会進出を決めた。坂本は「野球部も」とライバル心を燃やす。

 10年全道は8強入り。伊藤彰浩監督(52)は例年のチームと比較し「野手はいい」とみている。代表切符まであと2勝。天災の影響をねじ伏せて、地区を突破する。【保坂果那】