部員10人の不来方(こずかた)が盛岡市立を7-1で下し、88年の学校創立以来初の秋4強入りを果たした。エースで4番の小比類巻圭汰主将(2年)が0-1の6回に逆転2点適時打を放つと、投げても9回4安打3奪三振1失点で完投した。「今までベスト4に入ったことがなかったので、うれしさが出た。10人でも野球はできるし、実際ここまで勝ってきている。なんの支障もない。人数は関係ない」と胸を張った。

 発想を転換した。部員10人で行う守備練習よりも、打撃練習に特化することでチームの強みを伸ばした。今夏は3メートル前から投げる打撃投手2人にマシン1台を加えた3カ所でひたすら打ち込み、平日の約2時間の練習ではほぼ打撃にあてた。6回に逆転左越え適時打を放った小比類巻は「打たないと勝てない。自分たちが一番バットを振ってきた。やってきたことに間違いはなかった」と夏の成果を強調した。

 鉄腕で春秋通じて初の東北大会出場に王手をかけた。今秋、地区大会から5戦連続の41回完投した小比類巻は、同じく今秋61回を1人で投げた盛岡市立・高橋に投げ勝った。21日の準決勝では花巻農と激突する。大黒柱の小比類巻は「練習試合でよくやる相手。最後まであきらめないで、自分のスイングをしていきたい」と意気込んだ。10人の力で引き起こした「不来方旋風」はまだまだ続く。【高橋洋平】