日本文理が村上桜ケ丘に14-0で大勝し、秋は2年連続で県の頂点に立った。先発の西村勇輝(2年)が2日間の連投ながら7回を2安打、無失点の快投。8回からマウンドに立った鈴木裕太(1年)も3四球を出しながらも無安打、無失点で切り抜けた。2日間の連投を強いられる北信越大会(10月14日開会式=長野)のシミュレーションを決勝でやってのけた。

 ぬかるむマウンドも、水を吸って滑るボールも、西村の投球には無関係だった。直球は130キロ前後に抑えたが、スライダーとのコンビネーションがさえた。7回を投げて、打たれた安打は2本だけ。降り続く雨の中で熱い投球を続けた。前日19日の関根学園との準決勝に続く2日間の連投にも無関係。「マウンドに水たまりができても、うまくコントロールできた」と言った。

 降り注ぐ雨の決勝戦。大井道夫監督(74)は、悪条件のゲームながら「やってもらって、よかった」と話した。というのも、北信越大会本番の予行演習をしたかったからだった。「北信越大会は土曜、日曜と連投になる。それを経験させたかった」と言う。19日の準決勝で7回102球を投げた西村が、鈴木にマウンドを譲るとき「明日(20日)があるから、もういい」と言われ、決勝先発の心の準備を済ませていた。2日間で14回216球の熱投になったが、指揮官は「(西村は)丁寧に投げた。連投させても球の切れは落ちない」と言った。

 準決勝、決勝を含め西村-鈴木の継投策で勝利したのは4試合だった。「大事な試合を任されて“自分しかいない”と考えて投げてきた。この大会で成長できた」と背番号10の西村は言う。今夏は4回戦で長岡大手に1-2で敗退。8回からマウンドに上がる予定で、ブルペンで投球練習していたが、右脇腹の痛みを訴えて登板回避。「責任を感じた」と夏に責任を学んだ投手は、秋には自信を身につけた。

 最速148キロを準決勝でマークしている快速右腕の鈴木は2回を投げて3三振。剛腕は健在ながら、ぬかるむマウンドに苦戦して3四球。9回には1死満塁のピンチを背負ったが、最後は二-遊-一の併殺に仕留めた。「変化球の制球力をつけたい。そうすれば直球が生きる」と1年生は北信越までのテーマを見つけていた。そんな2人に大井監督は「投手陣は合格点」と手応えを得た。【涌井幹雄】