横手の巨漢エース右腕・貴俵健(きたわら・たけし、2年)が、12年ぶりの東北大会切符をたぐり寄せた。185センチ、86キロの大柄な体を目いっぱい使って、豪快に上手から投げ下ろす。今夏準優勝の角館相手に8回を投げ、149球5安打4三振3失点(自責0)。「いつも通りのプレーをすれば勝てると思っていた。同じ県南地区の相手に負けられなかった」と胸を張った。

 本来は最速135キロを誇るが、この日は120キロ台前半の直球で低めを突いた。「今日は球が遅いと思ったので、内外を投げ分けてコーナーを意識した」。1年夏から貴俵を先発起用している押切信人監督(41)は「特に球が速いわけでもないが、身長と経験値だけはある。ピンチでも粘ってくれた」と貴俵を絶賛した。

 今夏は劣勢になるとベンチから声が出ず、金足農に初戦負けした。その課題を修正して迎えた4日の増田との地区大会初戦。1-3の9回に2点取り返して延長15回再試合に勝ってから、チームは勢いに乗った。貴俵は「ベンチから声が出るようになって雰囲気が良くなった」と振り返る。初回に3四死球から味方の失策で2点を先制されても粘れたのは、ベンチからの声援があったからだった。

 48年ぶり2度目の優勝をかけて、決勝戦は今夏の甲子園に出場した大曲工と激突する。県南の伝統校をけん引する貴俵は「1位で東北大会に出て、持ち味である直球で押す投球をしたい。直球を磨き直したい」と意気込んだ。【高橋洋平】