2季連続の甲子園を狙う聖光学院が5-1で学法石川を下し、2年連続16度目の東北大会出場を決めた。新チームから「5番セカンド」に定着した1年生の矢吹栄希(はるき)内野手が初回に先制となる2点中前適時打を放ち、勝利を呼び込んだ。

 聖光に新星が現れた。1回2死二、三塁。カウント3-1からの5球目、1年生の5番矢吹は、内角の直球を臆することなく振り抜いた。「何を打ったか覚えてないです。詰まったけど、抜けてくれた」。中前にはじき返して2点先制すると、この回2安打4四球で4点を奪い快勝。まだあどけなさが残る15歳は「自分は打撃で使ってもらっている。初球から振っていけるのが強み。1年生とか言ってられない」と強心臓ぶりを見せつけた。

 打撃が評価され、入学早々にBチームの「1番ショート」に抜てきされた。新チーム始動後は斎藤智也監督(53)から「あの打撃は外せない、1、3、5番どこでも使える」と認められ、二塁の定位置を確保。旧チームからの目玉だった「いとこ二遊間」の小泉徹平二塁手(2年)を遊撃に、瀬川航騎遊撃手(2年)を左翼へコンバートするほどの期待をかけられた。

 初の県大会出場となった19日の郡山東戦で高校通算2本目の本塁打を放ち、満点スタートを切った。4戦連続の5番起用に応え、13打数5安打と力を見せている。「波がなくて、甘い球を遠くに持っていけるのが売りです」と自己分析。この日、スタンドで視察していた中日山本スカウトは「ポイントをつくって打てている。タイミングの取り方が抜群。今後が楽しみ」と絶賛した。

 地元郡山の出身。日大東北との14年夏の決勝戦を中2の時に見て、聖光進学を決めた。9回裏に4点とって同点に追いつき、延長11回にサヨナラ勝ちを決めた聖光ナインを見て「人間的にも成長できると思って決めた」。決勝ではその宿敵・日大東北と激突する。「一層レベルアップしないとダメ。自分のできる力を出し切っていきたい」。聖光の新星が、まばゆい光を放ち始めた。【高橋洋平】

 ◆矢吹栄希(やぶき・はるき)2000年(平12)11月9日、福島・郡山市生まれ。2人の兄の影響で3歳から野球を始め、緑ケ丘小を経て、緑ケ丘中では郡山ボーイズに所属。聖光学院では1年秋からベンチ入り。179センチ、70キロ。右投げ左打ち。家族は両親と兄2人。