夏の熱狂を再び-。第71回国民体育大会(岩手)の本大会が明日10月1日、開幕する。特別競技の高校野球(硬式)に出場する北海は今日30日に岩手へ向け出発。右肘を痛め調整が遅れていたエース大西健斗(3年)も、27日に練習に合流した。練習試合では負けなしの“ガチメンバー”。今夏甲子園準Vの主力がそろった最後の公式戦で、94年以来22年ぶり3度目の国体優勝を狙う。

 単なる「思い出作り」では、臨まない。今夏の甲子園で道勢10年ぶりの準優勝を果たした北海の平川敦監督(45)は「全国8強を中心に強豪と戦うわけだから必死でやる」と“ガチ・モード”だ。甲子園から戻ってすぐに行われた1、2年生による秋季大会では、準備不足もあって札幌地区予選の初戦で敗退。「1、2年生にとっては来年への試金石。公式戦の機会は春までないし、国体では出来るだけ勝ち上がりたい」と、甲子園メンバーのうち主力の3年生以外は、あえて1、2年生で国体メンバーを編成。練習試合では負けなしだ。

 右肘を痛め治療に専念していたエース大西も27日、約10日ぶりに練習に復帰した。キャッチボール程度で投球練習は再開できておらず、あくまで元4番として打撃での途中出場になりそうだが、フリー打撃では快音を響かせ「今までよりバットが振れて、打球もいい感じで伸びている。ホームランというより、たくさんヒットを打ちたい」と、本人も手応えを感じている。

 2日の初戦では、甲子園で春夏連続8強入りし、高校日本代表でも活躍した好左腕、早川隆久投手(3年)擁する木更津総合(千葉)に挑む。大西は「(右打者の)内角にズバッと来るイメージ」と“打者目線”で警戒し「高校ジャパンの試合もテレビで見ていた。あそこで活躍していた選手たちと対戦するのが楽しみ」。大学進学希望で、野球を続ける意志を固めているだけに、世代随一の選手が顔をそろえる国体での力試しが待ち遠しい。

 灼熱(しゃくねつ)の甲子園で全5試合に先発し4完投。「恥ずかしい試合は出来ない」と準Vの意地がある。粘り強い投球と礼儀正しさで老若男女のハートを射止めた背番号1は、高校最後の大会で有終の美を狙う。【中島宙恵】