2年ぶり出場の静岡(静岡3位)は4-1で桜丘(愛知2位)を退けた。森康太朗捕手(2年)の先制適時二塁打などでリードし、エース池谷蒼大(2年)が5安打10三振1失点で完投した。

 冷静沈着な森が、珍しく体いっぱいで喜びを表現した。0-0で迎えた2回表2死三塁、相手エース原悠莉(2年)から4球続けてファウルで粘っての7球目。真ん中のスライダーを思い切り振り抜いた。打球は左翼手の頭上を越え、適時二塁打に。森は塁上で大きく右腕を突き上げ、会心の笑みを浮かべた。

 「打った瞬間、越えたと思いました。(ガッツポーズは)普段やらないんですが、思わず気持ちが出てしまいました」

 勢いに乗る森は、4回にも外野の間にポトリと落ちるラッキーな適時二塁打も放った。4打数2安打2打点。新チームになってからの公式戦打率もチーム1位の5割だ。「特別なことはしてないので、なぜか分かりません。ただ、打席で求められる役割が分かってきたので、やるべきことに集中できています」。

 打撃の充実はリード面にもあらわれた。エース池谷の調子を見極め、「ストレートで押せていたので、県大会同様、低めを意識して勝負しました」と森。ピンチではマウンドに駆け寄って間を取り、声を掛けた。池谷も「何も考えずに(リード通りに)投げました」と、迷いのない投球で桜丘打線を封じた。

 好調のバッテリーを軸に初戦を突破。栗林俊輔監督(44)は落ち着いた表情で言った。「今日は序盤に打てたのが大きい。流れも良かったですね」。2年ぶりのセンバツへ、静高が上々のスタートを切った。【鈴木正章】