甲子園もドラフト戦線も、履正社(大阪)の「YW砲」が主役になる。来秋ドラフトの目玉、早実(西東京)・清宮幸太郎内野手(2年)に対し、安田尚憲内野手(2年)がライバル筆頭候補に挙がるが、主将を務める若林将平外野手(2年)も負けてはいない。右肩、右胸、右膝と3度の故障を乗り越えた右の長距離砲。安田との3、4番コンビで17年アマ野球の主役を奪う。

 人生が変わった、と実感した試合がある。今夏の大阪大会4回戦・東大阪大柏原戦の3回1死満塁。若林は初球のカーブを舞洲の左翼スタンドにたたき込んだ。岡田龍生監督(55)に「きょうはあの1発で決まったようなもの」とねぎらわれた公式戦1号。チームに勢いを与える1本の重みを知った若林は「自信をつけることができた試合でした」と言う。

 秋は近畿大会府予選4回戦で大体大浪商と対戦し、舞洲のバックスクリーン右へ会心弾。夏も秋も、甲子園につながる重要な試合でアーチをかけた。

 高校生野手ではチームメートの安田、早実・清宮の名前が先行する。だが若林には「振る力では負けていない」自負がある。高校入学前に142キロのスイングスピードをマーク。1年秋で背番号7をつかんだが、疲労性の右肩痛、右胸部の骨折、右膝痛に苦しみ背番号13の甲子園デビューに。「同じ右の長距離打者として高校生の同時期で比べれば、山田をしのぐ飛距離がある」と期待する岡田監督は復調を待ってくれた。主将で臨む来年センバツは「全試合でチームに貢献するヒットを打つ」。安田と組む強力すぎる中軸で、準優勝に終わった14年春超えを狙う。【堀まどか】

 ◆若林将平(わかばやし・しょうへい)2000年(平12)3月3日、大阪府生まれ。小学時代は「都島タイガース」で投手を務め、都島中では「大淀ボーイズ」で捕手。履正社では1年秋に背番号7でベンチ入り。高校通算18本塁打。50メートル走6秒7。遠投90メートル。180センチ、86キロ。右投げ右打ち。