昨秋の東海大会で準優勝した至学館(愛知)は初の春切符をつかんだ。

 至学館はレスリングでリオデジャネイロ五輪を沸かせた先輩たちに負けない活躍を目指す。五輪4連覇で国民栄誉賞を受賞した伊調馨ら女子レスリングのメダリストを多数輩出。一方、野球部は平日の練習場所が校舎裏の26メートル四方の“鳥かご”に限られる環境で工夫を重ね、初出場を手にした。木村公紀主将(2年)は「野球部をもっともっと知ってほしい」と甲子園初勝利で力を示す。

 15年秋。至学館大副学長となった吉田沙保里、伊調、栄和人監督の講演を部員10人ほどで聞きに大学へ行った。「感謝するという話が印象的だった。限られた場所しかないけど感謝したい。メニューには意味があるし、ヒントを与えてもらっている」。土日祝日や長期休暇は野球ができる環境を求め、遠征の連続。練習の中でいかに実戦につなげるか…。思考力がチーム力になった。麻王義之監督(53)も「グラウンドを持たない新しいスタイルの野球ができる」と胸を張った。

 金言をくれた吉田副学長に木村は「できれば(応援に)来てほしい」とラブコール。最強の応援を後押しに、甲子園で至学館旋風を起こす。【宮崎えり子】