第89回選抜高校野球(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が27日、大阪市内で行われた。東北大会準優勝の盛岡大付(岩手)は、4年ぶり4度目のセンバツ切符を手にした。

 雪に覆われた盛岡大付のグラウンドに「春の吉報」が届いた。午後3時5分過ぎ、センバツ出場決定の電話を受けた赤坂昌吉校長(60)は「有り難くお受けします」とあいさつ。学校から約2キロ離れたグラウンドで長靴を履いて練習していた選手たちは、冷たい雨の中で歓喜を爆発させた。

 昨夏から2季連続の甲子園出場。就任9年目で、13年春以来2度目の夏春連続出場を決めた同校OB関口清治監督(39)は胴上げを拒否。「胴上げされたらゴールになってしまう。優勝しかない」と春夏13度目の聖地に表情を引き締めた。

 昨夏甲子園はチーム最高の夏2勝を挙げて16強進出。秋から主将の比嘉賢伸遊撃手、植田拓中堅手、新エース三浦瑞樹(いずれも2年)ら夏経験者が残る。夏3番の植田は身長165センチと小柄ながら、高校通算36本塁打を誇る。甲子園2回戦の創志学園(岡山)戦では巨人に入団する最速152キロ右腕・高田萌生(18)から本塁打を放ち、秋の東北大会も2本塁打でセンバツ出場に貢献した。この冬は100キロのベンチプレスやスクワット240回などで全身を強化。体重も3キロ増の75キロになり、「打球の質が変わった。詰まっても伸びるようになった」と手ごたえを感じている。

 大阪・貝塚一中出身で、同じくセンバツ出場を決めた帝京五(愛媛)エース岡元健太朗は貝塚リトルシニアで同期。高校通算78本塁打の早実・清宮幸太郎(ともに2年)と対戦する可能性もある。秋から先頭打者の植田は「対戦したい。でもチームが勝つことが大事」と闘志を燃やした。

 チームは今日28日から福島・いわき市で3泊4日の特別合宿を行う。21世紀枠出場の不来方と、岩手県初のセンバツ2校出場を決めた関口監督は「お互いに全力を尽くし、春に明るいニュースを流したい」と力を込めた。【佐々木雄高】