第89回選抜高校野球大会(3月19日開幕・甲子園)に出場する札幌第一(北海道)ナインは26日、勝利のカツ丼を食べた。同校OB木村昭市さん(57)が札幌市内で経営する「お食事処・膳楽」で振る舞われた。甲子園前のカツ丼は初出場した02年夏からの恒例行事で春夏合計5回目。今回は昨年の7升を上回る8升分の「もりもりご飯」(木村さん)に、100グラムのカツを乗せたカツ丼を42人で平らげた。

 スポンサーは店主の幼なじみで、長男の崇聖さん(2年)が同校に通学する豊原寺の住職・明石正順さん(享年57)だが、24日朝にスキルス性胃がんのために逝去。この日は千晶夫人(51)が「夫のもう1度甲子園で応援する夢はかないませんでしたが、応援を力にいつも以上の力を出してください」とあいさつした。

 中村泰賀主将(2年)は「きっと天国で見ていてくれるはず。カツ丼を食べさせていただいた恩を勝つことで返したい」と神妙な顔つきで話した。「いろんな思いを受け止めて、はずかしくないプレーをしてほしい」と菊池雄人監督(44)。ナインは様々な思いが詰まったカツ丼に、必勝を誓った。【中島洋尚】