第89回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)に出場する仙台育英(宮城)は、明日3日に沖縄合宿へ旅立つ。佐藤令央(れお)投手(2年)のもとには、兄のオリックス佐藤世那投手(19)から激励のグラブが届いていた。昨秋の県大会では5試合に登板し10回2失点と奮闘したが、明治神宮大会では打者1人にストレートの四球で降板。巻き返しの冬を過ごしていた。

 偉大な兄・世那から、弟の令央へプレゼントが届いていた。先月14日、「Reo Satoh from Sena」と刺しゅうされた練習用グラブが送られた。世那が使用する「トレジャー」社製だ。令央は「バレンタイングラブですかね(笑い)」と笑顔を見せつつ「頑張れよ! というメッセージと受け取った。兄貴が夏全国準優勝だったので、俺の分まで優勝してくれ! という意味だと思う」と、プレゼントの意味合いを説明した。

 兄とは違った形で存在感を発揮する。在校時は名実ともにエースだった世那と違って、令央は昨秋の登板実績では4番手投手。むしろ真価を発揮したのは打撃だった。秋の公式戦では代打起用に応え、8打数3安打3打点と勝負強さを見せた。「打者としても活躍して、投手と両立させていきたい」。さらなる出場機会を求め、冬の間は一塁と左翼の守備練習にも取り組んだ。

 本職の投手でも変化があった。右肘の位置を通常よりも下げた横手投げで臨んだ明治神宮大会では、打者1人にストレートの四球を出して降板していた。「調子が悪い自分から逃げてサイドにした時点で、結果は決まっていた」と反省。その後は元に戻し、冬場は投げ込みを続けてきた。

 令央の武器はまだある。底抜けに明るい性格だ。ベンチでは誰よりも声を出して、チームを鼓舞してきた。「自分は投手、代打、盛り上げ役の三刀流でチームに貢献して、優勝に導きたい」。兄とそっくりの顔を引き締めて、意気込んだ。【高橋洋平】