第89回選抜高校野球大会(19日から12日間・甲子園)組み合わせ抽選会が10日、大阪市内で行われた。早実(東京)の清宮幸太郎内野手(3年)は、大会第5日(23日予定)の第2試合で馬淵史郎監督(61)が指揮する明徳義塾(高知)との対戦が決まった。

 明徳義塾・馬淵監督が苦笑いだ。清宮擁する早実との対戦が決定。「お客さんには『また敬遠するなよ』と言われると思います。まあ、試合の状況次第ですよ」。92年夏、星稜・松井秀喜に5打席連続敬遠を仕掛けた。この日も「全打席敬遠ということは?」との質問が飛んだが、「そんなことはない。松井に怒られる」。当時は1点を争う展開で、5打席のうち3度が得点圏に走者を背負う場面での対決。物議を醸した全打席敬遠を否定し、勝負に出る構えだ。

 とはいえ、甲子園で歴代5位の春夏通算48勝。一筋縄ではいかない勝負師だ。「場合によっては敬遠しますよ。終盤1点リードで走者二塁とか。清宮と勝負して野村を歩かせるかも」「同点で9回裏1死三塁。清宮、野村じゃなく(2人を歩かせて)次で勝負するのは僕じゃなくても考える」。清宮に加え、野村も警戒しなければいけない。ケース・バイ・ケースで対応する姿勢をみせた。

 隣に座った早実・和泉監督に対し「清宮にバントさせたら僕はベンチから出て拍手しますよ」「早実さんは優勝しなきゃいけない重圧あるからね」と“口撃”も忘れなかった。

 会見を「負けても言い訳になる」と締めくくるなど最後まで馬淵節。「5点以上の勝負になる。ウチも打線に自信がある。7、8、9(番打者)が試合進行係じゃない」。打撃戦を予想し、打ち合いに臨む腹づもりだ。【松井周治】