静岡(静岡)には女神がいる。1回戦には、生徒、父母会らがバス20台で甲子園に駆けつけるが、それをまとめ上げるのが静岡史上初の女性応援団長、香焼(こうたき)梨沙(2年)だ。1960年創部の応援指導部はかつて20人以上の部員がいたが、現在は第56代団長の香焼ただ1人。ほかに1クラスから2人選出される応援委員と、応援団を形成している。

 香焼 スタンドを一体化させて選手に声援を届けたい。「女だから」と言われないようにしたいです。

 中学時代はバドミントン部で、1年春に応援委員になった。同年5月の静岡商との定期戦で、球場を盛り上げる先輩団員の姿に憧れ、正式入部した。小学時代はチアダンスを習い、静岡市主催「こどもミュージカル」に参加した経験もある。「発声と舞台度胸は大丈夫です」。

 1人で頑張る姿は同級生の共感を呼び、現在は中学時代に野球部だった塚本尚太朗(2年)もサポートに付いている。聖地のスタンドに立つ姿が、新入生の目にも入ることも期待し、「新入団員が入ってくれるとうれしいですね」と香焼。選手の力になり、伝統を守る決意だ。【鈴木正章】