第89回選抜高校野球大会に出場中の盛岡大付(岩手)が28日、今日29日に行われる履正社(大阪)との準々決勝に向けて兵庫・西宮市内で最終調整を行った。2回戦で智弁学園(奈良)相手に1失点完投した背番号10の左腕・三浦瑞樹(3年)の先発が有力な中、臼井春貴外野手(3年)が約50球ほど投げ込んでスタンバイした。大会史上初の2試合連続延長再試合の影響で、今日から31日の決勝戦まで3連戦となる。最速147キロを誇る臼井が秘密兵器となる。

 脳裏には、幾重にも試合のシミュレーションが行われていた。練習後、取材に応じた関口清治監督(39)が悩める胸中を明かした。「先発が難しい。臼井が明日投げられるようであれば、三浦が後ろにいてくれた方がいい。でも、オーソドックスにいけば三浦が先発なんでしょうけど」。悩ましいのが過密日程だ。休養日が消滅したことで決勝まで3連戦になった。優勝まで逆算するのであれば、三浦瑞の投球回数をいかに抑えるかが鍵となってくる。

 この日、3番手投手の臼井がシート打撃で約30球、ブルペンで約20球ほど投げ込んだ。臼井の投球をブルペンで凝視していた関口監督は「球は来ている。あとは自分が納得するか」と一定の評価を与えた。臼井も「自分としても死ぬ気で投げるだけ」と必死にアピール。最速147キロの直球に加え、決め球のスライダーを始め4種類の変化球を操る。今春の練習試合では天理(奈良)相手に高校初完封をマークし、波に乗っている。

 優勝候補筆頭の履正社相手に序盤の失点は命取りになる。関口監督は「目の前の試合だけを考えている。一戦必勝です」と三浦瑞の先発をほのめかした。続けて「バッターは日替わりで打ってくれている。投手に頑張ってもらうしかない」。初戦にリリーフしたエース右腕・平松竜也(3年)の調子が上がらないだけに、左の技巧派・三浦瑞、右の速球派・臼井にかかる期待は大きい。総動員で春夏通じて初の4強入りを狙う。【高橋洋平】