決勝戦は史上初の「大阪対決」だ。春夏通じて初優勝を狙う履正社(大阪)と、12年以来2度目の頂点を目指す大阪桐蔭が決勝に勝ち進んだ。大阪桐蔭は“急造捕手”で主将の福井章吾内野手(3年)が好リード。秀岳館(熊本)に2-1で競り勝ち5年ぶりの決勝へ駒を進めた。

 背番号3の扇の要だ。秀岳館打線に連打を許さない。昨年の春夏甲子園2季連続アーチの相手4番・広部を4打席連続で沈黙させた。中学時代に対戦して以来「友達です。優しいから、内角を攻めたら腰を引いてくれるかなと思って」。1点差に迫られた8回2死一塁は二飛。福井がエース徳山を2試合連続完投勝利に導いた。

 12年の甲子園春夏連覇捕手で13年主将の森友哉(西武)にあこがれ、大阪桐蔭に入った。昨年末、西谷浩一監督(47)へのあいさつに大阪・四條畷市のグラウンドをたずねた森が、バットを握った福井を見て「うわ、そっくり…」と驚いたほどの森マニアだ。

 正捕手を目指したが、岩本の台頭で福井の守備位置は一塁になった。だが大会前に岩本が負傷。大きな穴を埋める使命を、西谷監督から託された。「やらせてください」と即答した。捕ってすぐに投げる送球動作を猛練習し、この日も2度、二盗を封じた。

 打席での応援歌は、クイーンの「We Will Rock You」。12、13年の森の応援歌で打席に立つ夢をかなえ、同じ守備位置でチームを率いる。「岩本が帰ってきても、マスクをかぶりたい。それくらいの覚悟がないと、センバツは勝ち抜けない」。記録員に回った岩本から助言も受け、二人三脚で投手陣をリードする。

 西谷監督が率いる大阪桐蔭にとって通算50試合目になる今日の大阪決戦。「明日止めなければ夏も勝てない。絶対に履正社を止めます」。今日の1勝で、12年春の森に並ぶ。【堀まどか】