早実・清宮幸太郎内野手(3年)が公式戦では今季初の適時打を放ち、チームを8強に導いた。遊撃手が二塁ベースの後ろに守る共栄学園版の「清宮シフト」を敷かれたが、遊撃手の右を抜く先制の中前適時打を放った。6回にも二塁内野安打をマーク。通算80号は持ち越されたが、3回戦の岩倉戦の内野手5人、外野手2人の「清宮シフト」に続き、2試合連続のマルチ安打でシフトを破った。

 球速が勝った。1回1死二塁。清宮はお手本のようなセンター返しを見せた。だが、清宮シフトを敷く相手は遊撃手の菊地が二塁ベース後方で待ち構えていた。清宮は「すごいところに守っていて、捕られるかと思った」という。だが、内野でワンバウンドした打球は人工芝で加速し、菊地のグラブの横を抜けた。清宮にとって、公式戦では今季初の適時打となった。

 貴重な先制点を挙げ、清宮は「勢いをつけられたのは良かったです」と喜んだ。6回も二塁への内野安打を放ち2試合連続のマルチ安打となった。王手をかけている高校通算80本塁打は出なかったが、清宮は「打点を稼ぐこと」に最もこだわっている。センバツ出場時も繰り返し口にしていたが、2試合で打点0に終わった。だからこそ先制適時打で10得点に勢いづいたことに価値を見いだしていた。

 雨脚が強まった8回表終了後に、1時間52分の中断を挟んだ。円陣で、和泉実監督(55)から「長い中断にも、待って応援してくれている方がいるんだぞ」と声を掛けられ、集中力を保てた。清宮は「負けられないと強く思った。その方々のためにも、勝てて良かった」と8強進出を喜んだ。

 前日8日の東京6大学野球で、胸を弾ませるニュースがあった。早実の2年先輩で、1年夏の甲子園でクリーンアップを組んだ早大・加藤雅樹外野手(2年)が、リーグ戦初本塁打を放った。「うれしいです。常に気にかけてくれていますし、ありがたいです」。次戦は15日の駒大高戦(神宮第2)。今度は清宮が先輩に最高のニュースを届ける。【久保賢吾】