名将率いる星槎が快進撃だ。25日、春季高校野球神奈川大会準々決勝2試合が行われ、星槎が昨秋県大会覇者の慶応を3-1で破った。今秋ドラフト候補で最速146キロ右腕の本田仁海投手(3年)が6安打11奪三振1失点完投。同校初の4強へ導いた。

 9回2死。カウント2-2から本田は思い切り右腕を振った。最後の打者を145キロ直球で空振り三振に仕留めると両手を突き上げた。「自信になった。第1シードが目標だったので、取れて良かったです」。国内12球団27人のスカウトが見る前で、原石は光を放った。

 本田は入学時は身長177センチ、体重55キロだった。名門・桐蔭学園を30年率い、巨人高橋監督らを育てた土屋恵三郎監督(63)の指導のもと、トレーニングを積み、意識も変わった。「プロに行って活躍したい」。現在は181センチ、75キロ。直球は約20キロも速くなり、この日も最速タイの146キロを記録。楽天松井裕を手本にした縦のスライダーを操り11三振を奪った。

 土屋監督は就任3年目で初の4強へ導いた。「本田は最後は気持ちで投げた。専用グラウンドもないし、うちの子たちはエリートじゃない。でも、磨くと、こう伸びるんだ」と手塩にかけた右腕の快投を喜んだ。準決勝は横浜が相手。創部7年目の春に、ドラマチックな結末が待っているかもしれない。【和田美保】